「生きている目的がわからない」と言う億万長者

例えば、若くして成功し多くの資産を持つ人は「なんのために生きているかわからない」と言っていました。正確には、かつてのように目標を持てないと言いました。実現できないと思っていたあまりにも大きい目標を達成してしまうと、人生に虚無感を感じるようになります。

次元の小さい話で申し訳ないですが、僕のYouTubeチャンネルの登録者数は約12万人ですが、かつてYouTubeで発信を始めて半年で1,000人程度の登録者数だった自分にとっては、1万人の登録者数でも大きな目標であり、10万人は達成できないような目標でした。

しかし、いざ10万人になると次に100万人を目指すモチベーションは生まれなくなります。他人から見れば、100万人、1,000万人と上を目指せというかもしれませんが、ここまで来ればただの数字遊びであり、心からワクワクする目標ではなく、形上の目標でしかなくなります。

20代で資産を多く築いた彼は、もはや死ぬまでに使い切れないお金を持ち、残りの長い人生をどうやって生きるかという悩みを持っています。ショーペンハウアーは「人生とは苦痛と困難で満たされ、そこを抜けた先には退屈が待っている」というようなことを言いました。

「FIREなんてクソ喰らえ!」お金のプロが教えるお金の本当の価値「お金でできることよりも、お金だけではできないことの方が多い」_2
お金だけでは絶対に買えないもの「知識・教養」

そして、大きな悩みを解決できれば、大きな悩みがあったときには気にならなかった小さな悩みを気にするのが人間というものです。工事の音がうるさくてストレスだった人も、工事が終わると今度はハトの鳴き声がストレスになるようなものです。

僕たちは大きい悩みで小さい悩みを認知できていないだけなのですが、それを、目に見える大きい悩みを解決すれば人生は素晴らしいものになると思ってしまうのです。だから、FIREをしても悩みは尽きないと考えています。

またFIREの課題は、達成できるかどうかより、達成した後の人生を構成する要素です。多くの人は達成の難しさゆえに、それを考えませんが、達成した後の生活が素晴らしくないと感じるのであれば、そもそも目指すべき場所ではないはずです。