在日ウクライナ大使館は授業料を返金

結果的には、清水氏の意に反して、多数の学生が③の学校経由で在日ウクライナ大使館に支払うことを選択した。先の支援団体関係者によると、学校は③を選択した生徒から徴収した授業料を、実際にウクライナ大使館に送金したという。

「こういうよくわかんないことを言い出すから、トラブルが深刻化した感は否めません。普通に、学費としてもらえばいいのに。それを何か違った形のチャリティーに回すというのは、はっきり言って意味が分からない。
それで実際に、学校はウクライナ大使館にお金を送ったのですが、対応に困ったのは大使館。立場上、避難民からのお金は受け取れないと、そっくりそのまま学校に返金したそうです。当たり前ですよね。日本に来た避難民を補助する立場の大使館が、避難民からお金を受け取れるわけがない。

戻ってきたお金が、宙ぶらりんの状態で学校にあるわけですけど、当然『学校はそれをどうするの?』という話になりました。それを生徒に返したら、『大使館への寄付を選択した生徒だけは、学費を払わなくていいの?』って話になります。まあ、こんな感じで揉めていったわけです」(支援団体関係者)

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説明会後、前橋市は避難民に向けてこのような文書を出した(「NGO ウクライナ フレンドシップ サポーターズ」理事、加藤秀一氏提供)
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そもそも、ニッポンアカデミーはお金がほしいのであれば、③の選択肢を用意する必要はない。この意図についてニッポンアカデミーに質問状を送るも、期日までに回答を得ることはできなかった。

これは憶測でしかないが、学校に授業料を払いたくない学生が一部にいたため、払いやすいように大使館に入金する選択肢を作り、営利目的ではないことをアピールしたかったという見方もできる。
そして、大使館がそのお金を受け取らずに返金することを学校側は最初から予想しており、“宙ぶらりんとなった学費”は、騒動がおさまったら懐に入れる算段だった可能性も否定できないだろう。

いずれにしても、ウクライナから来た学生との溝がどんどん深まっていったニッポンアカデミーと清水氏。説明会で披露された理解しがたい言い分は、やはり学生からもほとんど理解が得られず、いよいよ収集がつかなくなり、理事長解任に至ることになる。

後編記事では、説明会の後半の内容に加えて、学校と避難民が交わした口約束とは何だったのか、なぜ前橋市は補助金を減額したのか、について詳報する。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
資料提供/「NGO ウクライナ フレンドシップ サポーターズ」理事・加藤秀一氏、ルニン・ヴラディスラヴさん

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