推し活を始め、推しにガチ恋するまで

渦中の男子大学生・吉田さん(仮名・20)が“ライブ”の世界に魅せられたのは小学生のとき。親からお笑いライブに誘われたのがきっかけで、それ以降は芸人だけでなくミュージシャンなどのライブにも行くように。

中学生の頃からはSNSで「推し活垢」を作り、推しの認知度が少しでも上がるよう、推しの好きなところなどを発信するようになった。

吉田さん(以下同) 「中学生の頃は部活もほとんどやってなくて、友達もあまりいませんでした。なので学校以外の時間はライブに行って、帰ってネットを見てダラダラしてっていう生活でした。推しのライブがあるから、その日までは生きようって感じ。そこで感じたことを誰かに共感してほしいから、僕にとって推し活は“推し活垢”ありきでした」

そんな中、吉田さんの運命を変えたともいえる芸人コンビ「R」と出会う。芸人としての活動はもともと認知していたが、音楽活動も行なっている Rの楽曲に出会ったことで、ボーカルの「B」に吉田さんはガチ恋した。バイトを始め、バイト代はほぼすべてBと会うために費やす怒涛の推し活が始まったのである。

ライブのイメージ 写真/Shutterstock.
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Rの音楽ライブにはほぼ全通し、お笑いライブにも足を運び始めた吉田さん。Rのラジオには毎週何通もメールを送っていた。そんなある日のライブ終わり。Rのファンが気を利かせて、Bに吉田さんのことを紹介したのである。

それにより、熱心なラジオ投稿者と吉田さんの顔が一致し、吉田さんは推しであるBから「正式に認知」された。

今まで推し活をしていても、推しに認知された経験がなかったため、その特別感から吉田さんはますますBを推すようになる。

「Bさんに認知されるようになって、本人に僕のアカウントが見られているかもしれない、僕が言っていることが相手にはわかるんだ、ということは意識するようになりました」

取材を受けた吉田さん(仮名・20)
取材を受けた吉田さん(仮名・20)

Bを推し、Rの活動を応援する中でもう一つ吉田さんが得たものは友人である。

「バイト代は推し活と大学への交通費に使っていて。実家暮らしで友達もいないので、外食代がかからない。大学で少しくらいしゃべることはあってもわざわざ遊びにいくような友達がいなくて。

そんな中、推し活で仲間になったRの元ファンの子と相性がいいなって思えたんです。ライブとか関係なく会う唯一の友達ですね。その子は僕の推し方に理解があって、話を聞いてくれるし、共感してくれるので仲よくなれました」

しかし、音楽活動のRだけでなく、芸人としてのライブにも行くようになったことで、その歯車は徐々に狂い始める。