こづかいを創意工夫して使うそれぞれの努力
――駅の片隅で行き交う人々を眺めながら晩酌している、“ステーション・バー”の村田克彦さんは、特に強烈なインパクトがありました。
彼は幼馴染がモデルなんですが、僕としては割と地味な回だと思ってたんです。鉄道好きの人から駅で飲む人は結構いると聞いていたし、いわゆるエキナカのちょっとした居酒屋のひとつくらいに考えていたら、予想外の方向に広がっていって。分析がどこまで正しいかわからないけど、意外と同じことをやっている人が多かったんじゃないですかね。駅で飲んでるおじさんたちってそういうことだったんだ、みたいな(笑)
――ほかに、吉本さんの中で印象に残っている「こづかい超人」はいますか?
重複するんですけど、3話の筒木剛さんですかね。ほとんどの旦那さんは「俺はこれだけでいいから」って、こづかい制にしてるんですけど、おそらくこういうことなんだよなというのが、あの人のおかげで気づけました。おかげさまでこの漫画の骨格が作られたと思っています。ただ、特別に家族想いな方なので、3話目にして行きすぎた人が出てきちゃったかなとも思いますけど(笑)。
あとは5話でポンタカードについて教えてくれた工藤静男さんの回も反響がすごく大きくて、このおふたりにはすごく助けられましたね。
――漫画に描かれることは、みなさん好意的にとらえてくれているのでしょうか?
そうなんですよね。もしかしたら怒られるかも…と思う時もありますが、むしろ「ありがとう」とか「嬉しい」と言ってもらえて、出てくれた方の友達がモーニングを10冊ぐらい買ってくれたなんてこともあります。
そのときに、応募される方には、周りに好かれてる人が多いのかなと思ったんです。人に優しくて、友だちを大事にする人だから、小さな幸せを大事にできるんじゃないかなって。
――わかる気がします。「こづかい超人」の取材のとき、必ず聞くようにしていることはありますか?
「どういうときに楽しいですか」ということですね。「こづかい制でつらい」というのは本意ではなくて、こづかい制にして生活が楽しくなった話を描きたいので、そこが一番知りたいところなんです。