こづかいのやりくりは「デフレ日本の絶望の象徴」なのか?

――ありがとうございます(笑)。その一方で、本作は「ディストピア漫画」や「デフレ日本の絶望の象徴」と呼ばれることもあります。これらの意見について、作者としてはどう感じていますか?

自分ではそういう漫画を描こうと思っていたわけじゃ全然なくて……ただ、確かにデフレだよなとは思いました。まあ、せこい話なのでしょうがないじゃないか、といったら元も子もないんですけど(笑)。でも、嘆いたところで今の時代を生きるしかないので、自分で楽しみを見つけていくしかないと思うんですよね。

あとは、ちょっとかっこいい言い方になりますけど、こうやって家族を養って頑張っている人たちがいるんだということを描きたかったんです。景気がどうこうじゃなくて「こういう幸せってどうですか?」というような。

【漫画あり】月額2万千円のこづかいは「デフレ日本の絶望の象徴」なのか? 毎月限られた金額をやりくりする「こづかい超人」たちを描く漫画家・吉本浩二_7
『定額制夫の「こづかい万歳」~月額2万千円の金欠ライフ~』
漫画を読む

――ちなみに、値上げラッシュが続いていますが、こづかい生活に影響はないですか?

もちろん、影響はあると思うんですが、こづかい制の人たちは、それはそれでまた工夫して楽しむんじゃないかと思うんですよね。たとえば、リサイクルショップが逆に充実したりして、こづかい生活的にはプラスの部分もあるような気がします。みなさん別に食費まで削ってるわけではなく、あくまでもこづかいの話ですから。

#2 「来月どうなるかもわからない漫画家の世界ですから…」重版がかかってもこづかいは上がらない!?

取材・文/森野広明