韓流ファンの自信は“学歴や収入などの優位性”で
裏付けられていない
最後にこれがもっとも重要な点だが、韓流ファンがたしかに自分にある種の自信を持っているとしても、それがはっきりとした学歴や収入などの優位性によって裏付けられているわけではないことである。
たしかに「韓国のドラマや映画をよく見る」層と、「K-POP(韓国のポピュラーミュージック)が好き」な層では、最終学歴が大学以上の者はそれぞれ43.1%、42.4%で平均の42.1%を超えており、また収入でも高収入層(世帯年収が800万円以上)の割合が平均の20.6%を上回っている(それぞれ25.4%、25.5%)。しかしこれらの多くは有意な差ではなく、また逆に小中学校を最終学歴とする者や、低収入層の割合は他と比べてむしろ多くなっていることにも注意する必要がある(表4)。
こうした現象はひとつには韓流ファンになお学校に通うような若年層が多く含まれているために生じているとみられるが、ただしそれを含めて、韓流ファンが少なくとも現時点で学歴や収入においてはっきりと恵まれているわけではないことは事実だろう。
もちろん若年層にとって多くの場合、「世帯年収」は自分の収入を示しているわけではない。ただし「家族を気にせず自由に使えるお金」をみても、アニメファンやJ-POPファンとは異なり、格別、有利な状況にあるとはいいがたい。
この意味で韓流ファンは自分自身の能力や容貌に自信を示すことが多いが、その根拠は不確かといわざるをえない。将来はいざしらず、現時点で彼女たちは、学歴や収入などによってその優秀さを目に見えるかたちで保障されているわけではない。その意味で韓流ファンは不安な主体といわざるをえない。
彼女たちは自分が他人より優れている、あるいはそうであるはずと考えているのだが、外からみるとその根拠は曖昧で、だからこそ自分の優秀さをどうにかして証明する必要に駆られがちなのである。