被害の根絶に向けできることは?
一方で、被害をなくすために動き出すギャラリーも現れ始めた。
本書で触れられているのは、千葉市の「企画画廊くじらのほね」だ。作家へのプライベートな誘いや迷惑行為の禁止を発表した。
また、大阪市の「芝田町画廊」がギャラリーストーカー対策の具体例をTwitterで公表し、大きな反響を呼んだ。
作品を楽しむ鑑賞者として、私たちにできることはあるのだろうか。
「作家にとって安心できる環境づくりをしている画廊やギャラリー、美術館を支援していくことではないでしょうか。
そうした場所で私たちが作品を見たり買ったりすることが、結果的に業界を変えていくことにつながると考えています」
被害の根絶には、業界での実態がもっと広く知られていく必要がある。
「取材に応じてくださった方は、書籍が出ることによって、この業界が少しでも変わってほしいと、その一点で辛い体験を語ってくれました。
業界全体の問題をみなさんよく把握され、変えたいという思いが強い方ばかりでした。その声を受け止めて、みんなの問題として取り組むべきです」
取材・文/高山かおり
撮影/一ノ瀬 伸