それでいて彼のフォロワー数は6万7000人もいて、しかもその8割がキャバ嬢かその予備軍のような女性だという。
「TikTokはコロナ禍で落ち込んだ客足を集める店の宣伝として始めました。でも今のような動画を出すと人気が出てきて、現在は人材募集に活かすような内容にしています。そのおかげで入店志願者が増えて、毎月50人くらいはキャバ嬢候補と面接していますよ」
なかには自分の母親も昔キャバ嬢だったという子もいる。その子は母親にムラカミさんのTikTok動画を見せて、「うん、ムラカミさんのお店なら間違いないわ」と背中を押されて面接に来た。
「名誉だし、本当に嬉しいですね」
照れ笑いしながら、ムラカミさんは相好を崩した。
ここで黒服の仕事について簡単に説明しよう。我々から見えている黒服の仕事は、飲み物の注文を取ったり、灰皿の交換をしたりするテーブル仕事だ。だが見えていない部分で重要な役目がある。それはキャバ嬢の勤務と売り上げの管理である。
「要するにキャバ嬢の『マネージャー』です。ちゃんと出勤してくるか気をつけて、来たらテンション上げるようなことをいってテーブルに送り出す。売り上げが落ちてきた子の相談にものる。私の店なら肩書きがついている黒服で2、3人の女の子の担当をします。私は店長なので10人プラスアルファぐらいです」