初めて描いた作品で漫画賞を受賞
––その後、どういった経緯で漫画家を目指すことになるのでしょうか。
思い立ったのは、北海道にある競走馬の育成牧場で働いていた頃ですね。
––馬のトレーニングまで!
いろいろと経験していくうちに、その道のプロフェッショナルと仕事をするようなことも出てきていました。馬のトレーニングについても、働いているうちにたくさんのトレーニング法を勉強したくなって…。
––その経験が、どのように漫画家への転機になるのでしょうか。
実は、体調を崩してしまったんです。腰を痛めて乗馬もできなくなり、これまで学んできたことがすべて無駄になってしまうのではないか、と恐ろしくなりました。そこで、自分の経験を形に残す方法はないものかと考えたんです。
––それが漫画だったと。
はい。リゾート地での仕事で出会った人の中には海外の方も多く、その中には日本の漫画を愛する人もたくさんいました。その人たちが口々に「日本の漫画は本当にすごい!」って言っていたのを思い出したんです。
––とはいえ、漫画を描いた経験はまったくなかったんですよね。
はい。しかも当時は20代後半で、かなり遅いスタートでした。でも、今まで出会った人たちから「思い立ったらやらないと」という精神を学んでいたので、動き始めることができたんですよね。
––最初に描き上げたのはどんな作品ですか?
自分の経験を活かしつつ、好きなものをとにかくぶちまけた馬の漫画です。投稿した漫画賞で「下手だけど熱いものを感じる」という寸評と賞をいただきました。
––初投稿作が受賞というのは、とてもすごいことですよね。
受賞の連絡を受けたときは、「うわぁー!」と喜びと驚きが入り混じった感覚でした。描きたいものを描いて、それが通じたのがとてもうれしかったですね。でも雑誌に載ったカットを見て、冷静に下手な絵だなあとも思いましたね(笑)。