身内の不祥事から威信回復のために
沖縄県警が組への締め付け強化に動く
一連の騒動が起きてから水面下では何が起きていたのか。
「今回の騒動の発端となった少年の負傷事案で県警が頭を痛めていたのは、当事者の警官が当初の段階で上司への報告をきちんと行っていなかったことです。この対応の不備を指摘されるのは県警としては痛い。そこで、まずは警官の処分を最優先とし、昨年11月に特別公務員暴行陵虐致傷の容疑で書類送検するに至った。
とはいえ、警察署が襲撃されるというのは警備上の大失態で、こちらも放置するわけにはいかない。当初から悪質な襲撃者をリストアップした上で摘発する方針を固めており、その流れに沿って男の逮捕に踏み切ったということです」(前出の県警関係者)
一方、騒動から1年を迎えるのを前に地元組織の組員が逮捕されたことで、別方面にも火種が飛ぶ事態にもなっている。事情を知る地元メディア関係者が、声を潜めて明かした。
「今回逮捕された男は、先輩格の別の組員を慕って組織の盃を受けたそうです。男が組織に入ったのは、襲撃騒動の後だったので、組側の騒動への関与はありません。それでも、逮捕された男が現役組員である限りは、暴対法や暴排条例を盾にして県警が組側への捜査に着手できる。今回、男が所属する組織のみならず、上部団体への強制捜査に踏み切ったのもそうした背景がある。
沖縄は、これまで比較的暴力団への締め付けが緩やかだったものの、ここ数年は全国的な『暴排』の流れを受けて徐々に風当たりが厳しくなってきている。旭琉会は2019年に先代の会長が亡くなっていますが、現在も正式な跡目を据えていません。使用者責任が厳しく問われるようになったことを警戒しての対応で、今はなるべく県警とは敵対したくないというのが本音でしょう。
そんな中で持ち上がってきたのが、今回の一件です。県警としては身内の不祥事があった中で威信回復のためのチャンス。組織側からしたら、とんだとばっちりといったところでしょう」
世間を大いに騒がせた「令和の暴動」の余波はまだまだ続きそうだ。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班