見通しの暗い日本経済。不況に強い生き方とは

2023年も賃上げは絶望的? 増税は不可避? 経済ジャーナリストが勧める「不安定な時代の生き方」_03
すべての画像を見る

――ここまでのお話をまとめると、景気回復の見通しは立たず、予算の使途も不明瞭で、政治もなかなか信用できないと……絶望的ではないですか?

仕方ないですよ。来年は今年以上の増税が考えられますし、岸田政権は原子力発電所の新設なども検討し始めています。今の状況はコロナ禍での社会変化や世界的な不況の影響というよりも、増税以外に関する動きが非常に遅い現政権による「人災」という他ありません。

――では来年以降、特に若い世代はどうやって生きていけばよいでしょう。なにかアドバイスはありますか?

取るべき方策は一つですね。ミニマリストになるべきです。

――ミニマリスト……ですか?

はい。ミニマリストになって、とにかくお金を使わない! 来年は、さらなる不況に備えて力を蓄えるべき時です。最低限のモノで心豊かに暮らしましょう。家族や友達と支えあえば、お金を使わなくても楽しく暮らせますよ。

「お金がなければ幸せになれない」なんて発想は捨てて、「一億総ミニマリスト」になるべきだと思います。

ーーたしかに、若い世代にはシェアの文化が根付いているとは聞きますが。

そうです。その文化を全世代に広げていきましょうよ。お金で人と繋がるのはやめて、価値観やライフスタイルで人と繋がる。あとは、文化的な教養を養って心を豊かにする。

最近は、文化的なコンテンツがとても安くなっているじゃないですか。音楽はサブスクで聴き放題だし、Netflixなどの動画配信サービスに加入すれば、映画やドキュメンタリーなども見放題です。

少し前に『フランス人は10着しか服を持たない』(大和書房)という本が流行りましたが、ここはフランス人を見習って、モノを持たない文化的な暮らしを実践していきましょう。

――景気回復が望めないので、暮らしをサイズダウンするのが最適解だと。なかなか皮肉めいた結論にも思えます。

そうせざるを得ないのが現実だと思います。経済が右肩上がりに成長していくなら、どんどんお金を使ってもいいのです。でも、それが難しいのであれば、限られた条件のなかで、個人がいかに豊かになれるかを考えるしかないでしょう。

友人との語らいやシェア、ボランティアなどに生きがいを感じられるのであれば、景気が悪くても楽しく過ごしていけますよ。どの年代でも、こうした考えを持つことが大切だといえます。


取材・構成/島袋龍太

「30点ですね」2022年の経済政策に点数をつけるとしたら。荻原博子氏が岸田政権をメッタ斬り はこちら