「ポスト岸田」を争う政局に
山際経済再生相、葉梨法相、さらには寺田総務相と、閣僚の辞任ドミノが続く岸田内閣。支持率低迷に早期退陣論もとりざたされる中、永田町ではいよいよ「ポスト岸田」を見据えた動きが本格化しつつある。
今後、後継を争う政局となれば、その影響力の大きさから無視できないのが、これまで無派閥を貫いてきた菅義偉前首相だ。かねてより噂される事実上の自派閥「菅グループ」の立ち上げがいつになるのかに、永田町の注目が集まっている。
9月の安倍国葬での名追悼演説でめきめきと株を上げ、2度目の首相待望論も聞こえる菅氏だけに、グループ立ち上げとなれば、自民党内のパワーバランスに変化が生じることはまちがいない。
菅グループ発足の観測が流れたのは今春のことだった。
「菅さんを慕う無所属議員約30人を中心に、同じ非主流派で関係の良好な二階派(43人)、森山派(7人)が合流すれば、第1派閥の安倍派並みの一大勢力になる。菅グループは当初、カーボンニュートラルやインバウンド、DXなど、菅政権が手がけた目玉政策の実現に向けた勉強会という名目で、夏の参院選前にも立ち上がると目されていました」(全国紙政治部デスク)
ただ、この予想が実現することはなかった。参院選前のグループ結成は挙党一致を妨げ、選挙に悪影響を与えると、菅氏自身が立ち上げを参院選後の夏に先送りする意向を示したためだ。
「ところが、参院選後の立ち上げもありませんでした。安倍さんの突然の銃撃死を受け、9月末の国葬までは喪に服すべきと、やはり菅さんがグループ立ち上げを封印してしまったんです。そこで菅グループの発足はと国葬後の秋以降なるというのが、永田町の共通認識になっていました」(前同)
ただ、秋の臨時国会が始まって以降も菅氏がグループ作りに動く気配はない。臨時国会初日の10月3日に行われた神奈川新聞のインタビューでも、菅氏自身が「(勉強会のことは)いまは考えていない」と断言している。