容姿いじりは果たして面白いのか
2015年、「日刊サイゾー」にて当時ブレイク真っ只中だったおかずクラブにインタビューした際に飛び出した言葉だ。特徴的な見た目と振り切れたネタで勝負していたおかずクラブが、この話をしていたのが非常に印象的だった。
容姿いじりは果たして面白いのか。
その壁に誰よりもぶち当たっているのは、他ならぬ女性芸人なのだと。飽きられてきているのを感じながら、分かりやすさとベタが生命線のテレビはそれを求めてくる。しかし、社会はNOを突きつける。アーティストの顔面を直接貶したわけではない3時のヒロインのネタが炎上した背景には「褒めようが貶そうが、容姿をいじることは不快だ」という受け手側のコンセンサスがある。
一瞬でも視聴者が「これは笑っていいの?」と迷ったら、もうそこに笑いは生まれない。福田はそのことに気づいていたのだろう。近年の女性芸人は、猛スピードで変わっていく価値観の、その渦の真ん中にいるように思う。
自分たちが置かれたその難しい状況に対して、女性芸人が何かを発言することは長くタブーとされてきた。そんなことをしたら「扱いづらい芸人」として、テレビの土俵から追い出されてしまうからである。女性芸人への容姿いじりがNGとなっている空気を察したテレビは、当事者である彼女たちをそういった風潮の〝被害者〟として登場させることが多くなった。
容姿いじりという大事な武器を奪われた被害者として女性芸人が切々と訴えることで、視聴者は罪悪感から、バラエティは誹りから免れようとしているように見えた。しかし女性芸人は本当に容姿いじりNG社会の〝被害者〟なのだろうか。