Dr.ハインリッヒが語る「フェミニズム」

「たしかに……こういうことを発言すると変なキャラ付けされるというのも分かります。テレビの中でそのキャラになるのは嫌ですもんね」

「そんなところで世間へ説明する役なんてしたくないじゃないですか。だからややこしい話なんやけども。理解してくれてはる人の前から、まずは始めていかなあかん」

「女芸人」と呼ばれることに違和感を持っていたというDr.ハインリッヒがなぜウェブ連載「女芸人の今」のインタビューを受けてくれたのか、その理由を彼女たちはこのように話した(インタビューは2022年1月29日「文春オンライン」掲載)。Dr.ハインリッヒは自身の音声配信コンテンツでもはっきり「フェミニズム」と口にする。

今「フェミ」という言葉がSNSなどで侮蔑的に用いられるというのは、説明の必要もないだろう。そしてテレビはもっと昔からステレオタイプなフェミニストのキャラを作り出し、笑いのネタにしてきた。「差別的な笑いもまた笑いである」という考えが根強くある男性中心の芸人社会で、さらにフェミニストを異端者扱いするテレビの世界で、「テレビに〝言い渡す役〟をやるのは貧乏くじ」であると彼女たちも理解していた。

双子の漫才師ということで早くからテレビに呼ばれることが多かったDr.ハインリッヒだが、テレビが彼女たちに求めていたのは、セクハラネタにキャーキャーする若い女性芸人役。憧れていたテレビにいざ出てみたら、芸人の仕事ではなく「女の仕事」をさせられる。