諦めなければフリー記者も会見で総理に質問できる
とはいえ、第2次安倍政権以降発足以降のここ10年で、こうした公平性が急速に悪化していることは間違いなく、このまま誰も抵抗しなければ悪化の一途を辿るだけだろう。
会見の閉鎖性を改善していくには、やはり「内閣記者会以外(外国プレス、フリーランス 等)」の新たな参加者がどんどん増えるべきだと思う。
現に、官邸という小さなムラの常識を全く知らない筆者が初参加したことで、会見の異常性が改めて世間に知られる機会となった。
そこで声を大にして言いたいのは、ぜひ新たなフリーランス記者に、今後もどんどん参加して欲しいということだ。私も継続して参加するうちにムラの常識(一般社会では非常識)に慣れてしまい、違和感に気付けなくなってしまう恐れがある。やはり、フレッシュな立場の視点は常に必要だ。
そもそも10年間にわたって新規のフリーランス記者が参加できなかった最大の理由は、参加条件(直近3ヶ月以内に各月1つ以上 総理や官邸に関する署名記事を加盟社で掲載し続ける、署名記事の掲載媒体から推薦状を得る)のハードルが、取材機会が限られるフリーランスにとって申請を諦めざるを得ないほど高かったからであろう。
現に官邸からは「直近10年間にわたって、そもそも参加を申請する新規のフリーランス記者がいなかった」と聞いている。
*筆者が参加条件を満たした経緯の詳細は、9月1日に集英社オンラインに寄稿した「民主党政権以来10年ぶり! ついに総理大臣記者会見への参加が認められた【顛末レポート】」 参照
だが、逆に言えば、この厳しい参加条件を満たしさえすれば、どれだけ政権に批判的な記者であっても、(少なくとも現時点では)官邸は申請を公平に審査していることがわかったし、運がよければ指名されることもある。
これだけの事実を、筆者はこの5ヶ月で実体験をもとに積み上げてきた。ここまで計5回にわたる集英社オンラインの連載で一連の具体的な流れ(申請~抽選~参加~質問)を詳細に書いてきたので、ぜひ参考にして頂きたい。
文/犬飼淳 写真/小川裕夫