「3回中、2回当選」という事実

もちろん、参加資格が認められても「内閣記者会以外(外国プレス・雑誌・フリー等)」の参加枠は10席に限られるため、抽選に選ばれないと会見には参加できない。

*コロナ禍以降の総理大臣記者会見は感染対策を理由にペン記者(質問が許されている記者)の参加人数は29名に制限されており、うち19名は内閣記者会 常勤幹事社19社(1社1名ずつ)。残り10名が内閣記者会以外(外国プレス・雑誌・フリー等)。

ただでさえ普段から官邸への取材機会を制限されている「内閣記者会以外(外国プレス・雑誌・フリー等)」にとっては貴重な取材機会のため、申込数は多く、毎回のように抽選が行われている。

この抽選を官邸報道室は公平に行なっていると説明しているが、正直なところ、これについても当初は半信半疑であった。

ところが、フタをあけてみれば筆者が同会見への参加資格を満たした後に申し込んだ3回のうち、なんと2回(8月10日、10月28日)も抽選に当たって参加することができた。連続して抽選に外れることも珍しくない中、非常に幸運だったと言える。

しかも、筆者は初参加となった8月10日(改造内閣発足日)の会見終了時に岸田総理に対して、会見室に響き渡るほどの大声で「8人しかやってません! 短すぎます!」と抗議しているのだ。

この日、大きな注目を集めていた旧統一教会をめぐる問題の説明責任を岸田総理が全く果たさないまま、わずか30分弱の質疑で会見を終えようとした上、質問者8名の大半が極めて形式的で緩い質問に終始。

筆者としては我慢の限界を超える状況だったが、とはいえ初参加の駆け出しフリーランス記者がいきなり総理に“野次”を飛ばしたのだ。官邸からも内閣記者会からも「要注意人物」と一発認定されたことは間違いない。

*外部配信サイト等で動画を再生できない場合は筆者のYoutubeチャンネル「犬飼淳」で視聴可能。

ここまで好き勝手に行動していたにもかかわらず、その次の2回目の参加で初めて質問することができたのだ。フリーランス記者の場合、初参加から初質問までに数年、人によっては10年近くかかったとも聞いていたので、筆者は極めて幸運だ。

こうした事実を踏まえると、総理大臣記者会見は確かに閉鎖性が高いが、ギリギリのところで最低限の公平性は担保されているのかもしれない。