サイト掲載で常連さんが離れる懸念…
後継者問題で悩むことも

今でこそ多くのお店が掲載されるようになった「絶メシリスト」。ただお店のなかには、サイトの宣伝効果で客足が伸びることをよしとせず、取材を断るところも多かったようだ。

「昔からあるお店は、常連さんがいてこそ成り立っている面もあり、取材をお断りされることも。店主としては、『絶メシリストに載ることでお客さんが増えるのはいいことだが、それで逆に常連さんがお店を離れてしまうのは困る』とのことで、我々も取材の依頼は慎重に行っています」

「食えなくなってもしらねえよ~!」高崎市の絶滅寸前グルメの存続をうったえる「絶メシリスト」の攻防戦_6
毎日、主人の善養寺さんが麺を手打ちしているラーメン店「香珍」
「食えなくなってもしらねえよ~!」高崎市の絶滅寸前グルメの存続をうったえる「絶メシリスト」の攻防戦_7
モチモチ、滑らかな食感の麺と旨味抜群のスープとの絡みは最高!

「絶メシリスト」に載っている「香珍」という絶品手打ち麺を提供するラーメン店は、絶メシに載ることで客足が伸びたという。

ただ店主が高齢でお客さん一人ひとりを丁寧に相手していたら、お店を回せないらしく、現在メニューはラーメン1本のみというお願いをしているようだ。絶メシでお客さんが増えることは喜ばしいことだが、こうした弊害が出ることもある。

「ですが、私たちの思いを理解してくれたのか、取材OKのお店もどんどん増えていき、サイトのラインナップも充実してきました。『絶メシリスト』では後継者の募集もしているのですが、サイト開設後からちらほらと後継を名乗り出る人が出てきて、着々と絶メシというものの知名度は広がっていったように思います。まだ正式に後を継ぐ事例は出てきていませんが、やる気のある後継者を待っている店主は多いですね」

絶メシ店の味に惹かれ、実際に後継者を志望する者も少なくない。それだけ人々の間で絶メシの認知度が高まってきているのだと言えるかもしれない。

コロナ禍に入り苦境に…
なくなる前に訪れてくれ!

順調に人々の目に止まり始めてきた「絶メシリスト」……だったのだが、あのパンデミックによって多くの店がさらに苦しい状況に置かれてしまったという。

「本、ドラマでの展開が続き、好調だった矢先に新型コロナウイルスの感染が深刻化してしまいました。絶メシ店に限らず、市内では多くの飲食店が大変な事態となり、一部では閉店してしまったお店も……。絶メシ店の多くは、常連さんが変わらず訪れてくれることで営業できているところも多いみたいですが、予断を許さない状況です。

実際に『絶メシリスト』に載った後、閉店してしまったお店は7店舗もあります。高崎市としては、絶やすには惜しい絶メシ店をひとりでも多くに人に知ってもらって、貴重な食文化を味わってほしい。個人飲食店の衰退は日本のみならず、世界的な問題です。古きよきお店を守り、後世に伝えていくという輪が全国的、世界的に広がれば我々としては本望ですね」

――今、この瞬間にも絶メシ店のなかには閉店を検討しているお店はあるだろう。高崎市の絶メシを食べてみたくなった方は、「食えなくなっても知らねえよ~!」が本当になる前に足を運んでみよう。