黒柳徹子さんが自著を朗読する贅沢

オーディオブックはなぜ急成長しているのか。コロナ禍での巣ごもり消費かと思いきや、同社広報の佐伯帆乃香さんはそうではないと言う。

「まずワイヤレスイヤホンの普及です。オーディオブックを聴きながら家事をしたり身体を動かしたりする『ながら読書』がより便利になりました。動画配信サービスなどでサブスクリプション・サービスが広がったこともあります。特に60代、70代といったシニア層のユーザーがお試しでやってみて、さらに使うようになったという声も多くいただいています」

同社のユーザー体験によると、ユーザーの女性の83歳の母親が緑内障で本が読めなくなったためオーディオブックを勧めたところ、すっかりに気に入って3年間で374冊を読破したという。ちなみに同社創業者の上田渉会長が学生時代にオトバンクを起業したきっかけも、緑内障で本が読めなくなった祖父のためだったとか。

では初めてオーディオブックを試してみようという人にお勧めの作品はなにか。再びコンシェルジェの羽賀さんに聞いた。

『もものかんづめ』(さくらももこ著、集英社)

1冊に声優14人起用も。ユーザー数がうなぎのぼりの「オーディオブック」の魅力とは何なのか_3

「朗読は『ちびまる子ちゃん』で声優をされたTARAKOさんで、作品世界にぴったり。1編が15分ほどの短尺なので手軽に聞けます」

『窓ぎわのトットちゃん』(黒柳徹子著、講談社)

1冊に声優14人起用も。ユーザー数がうなぎのぼりの「オーディオブック」の魅力とは何なのか_4

「朗読はなんと著者の黒柳徹子さん。読み方に緩急があって、聞いていて『ここは書いているときも筆が走ったんだろうなあ』とか、逆に言葉を探しながら読んでいるところがあって、著者の執筆時の息づかいが伝わるよう。年齢性別を問わず、私の激押し作品です」

『嫌われる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教え』(岸見一郎、古賀史健著、ダイヤモンド社)

1冊に声優14人起用も。ユーザー数がうなぎのぼりの「オーディオブック」の魅力とは何なのか_5

「ビジネス本、自己啓発本は人気のあるジャンルです。こちらは青年と哲人の会話で進むのですが、まるで2人の討論の場に同席しているように感じられます」