人が怖がるものと名作へのオマージュ
——撮影準備で苦労したことは?
“赤い人”のビジュアルです。マンガ版を参考に考えたんですけど、少女だからどうしてもかわいく見えちゃうし、6人の高校生が束になっても敵わない感じにはならない。メイクテストを繰り返したり、テスト撮影をしてライティングを工夫したりして怖さを追求しました。顔も含めて全身真っ赤にすることは、かなり後になって決まりました。
——怖がらせるために色は重要なんですね。撮影にあたって、「観客を怖がらせる方法」を研究されたのではないかと思います。人はどういうものを怖がると思いましたか?
やっぱり、暗いところは怖いですよね(笑)。暗くて見えないことの怖さは大きい。ただ、暗すぎて見えないとストレスに感じてしまうので、ある部分から先が暗くて見えない、というライティングにしています。
あとは、映画で体験したことがあるもの、というのもひとつの怖さだったりするじゃないですか。「こういうカットがあるということは、ここに何かあるんだな」とか、「このカットがこれだけ長いってことは、何かあるに違いない」とか。要は「フラグが立つ」ということ。何本も映画を見ていると自然と刷り込まれていく「映像体験からくる怖さ」も意識しました。
——それでいうと、影のみで惨殺シーンを描くところは、ヒッチコックなどの映画を思い出しました。
そういう古典的な表現もやってみましたね。
——井戸から手が出てくる場面は、『リング』を思い出したり。
ロケをさせてもらった学校に、たまたま井戸があったんですよ。そこに井戸があるということは、やっぱり『リング』へのオマージュとして使わないわけにはいかないだろうと思って(笑)。
——十字架が出てくると、これは『エクソシスト』かなと。
そうですね。キリスト教系のアメリカンホラーには必ず出てくるので、とどめはやはり十字架かなと思ったり(笑)。ずっと同じテイストが続くと飽きてしまうので、怖さのテイストを変えていこうとは思っていました。
——ほかに、どんな作品の影響がありますか?
“赤い人”や“エミリー人形”をあまり見せないという意味では、『エイリアン』がそう。今でこそフィギュアにもなってるので、エイリアンがどんな形をしているのか、みんなわかってると思います。
でも僕が中学生の頃に映画館で見たときは、何回見ても、どんな形をしてるのかわからなかったんです。「全体像がわからない怖さ」はあると思ったので、見る人にわからなくてもいいんだ、くらいの見せ方にしようと思いました。