働きながら癒される新しい試みも…
そして第三世代は昨年12月にオープンした和光店を例に挙げる。「複合滞在型レジャー施設」を掲げ、サウナ好きや若年層のお客様などの新しいターゲットを見据えた店舗づくりになっている。
和光店の2階にある「かまくらうんじ」は当初、岩盤浴ゾーンの構想もあったそうだが、長時間滞在できるスペースを設け、ワーケーションやリモートワークでも使えて、癒されながら仕事をする空間にすることに決めた。
「SNS映えを意識したリラクゼーションラウンジ『かまくらうんじ』では、リモートワークや滞在型のレジャー体験といったトレンドを踏まえて作りました。加えて、本格的な天然温泉や複数のサウナを完備することで、 1日中いても飽きない楽しさを提供できるように心がけています。滞在型の近距離レジャー施設では、来店するお客様の滞在時間が長くなればなるほど、顧客満足度が高まります。利益向上も期待できると思っていて、今までのおふろの王様にはない新しい取り組みの店舗ではないでしょうか」(加藤氏)
1階のレストランエリアでは地産地消のメニューが味わえ、施設利用者以外の客も食事をすることが可能になっている。
レストランや宿泊業を手がける会社と協力し、売れ筋の動向を見ながらメニュー開発を行っていて、テイクアウトの弁当も近隣住民には好評を博しているそうだ。
こうした地域住民の交流を促し、新たなにぎわいの創出を狙った店舗は、ちょうどコロナ禍の真っ只中にオープンした手前、緩やかな立ち上がりとなったが、「最近は当初の想定通りの集客を見込めるようになってきた」と加藤氏は話す。
「和光店に関しては、コロナ禍に開業したこともあり、なかなかプロモーションを行えていませんでしたが、ようやく集客面に関しては計画通りの推移となっています。しかし嬉しい誤算もありまして、次の問題として浮上したのが『人気が出すぎて、本来の目的である“癒し”や“リラクゼーション”の提供に影響をきたしかねない』という点です。
2階のかまくらうんじは‟ご褒美”をコンセプトにしたラウンジスペースで、ゆったりと寛げる空間になっていますが、おかげさまで好評のため休日は特に混雑してしまう時間帯もあり、十分にリラックスしていただけるようにさらに配慮していかなくてはならないと考えています。この点については次に越えるべき課題として、どう改善していくかを検討しています」
サウナカルチャーは、一過性のブームではなく、文化に昇華していくと話す加藤氏。幅広い層に楽しまれる「複合滞在型レジャー施設」として、これからの「おふろの王様」から目が離せない。
#2 「コロナ禍でも衰えぬサウナブームでパンク寸前!? サウナは「ブーム」から「文化」に昇華する」へつづく
取材・文/古田島大介