人気の秘訣は設定温度を10℃高めたこと

「おふろの王様」はスーパー銭湯の先駆けとして、老若男女問わずに愛されるような店舗づくりを手がけてきた。

そのため、昨今のサウナブームの盛り上がりに迎合するような店舗づくりは行っておらず、さまざまなユーザー層に広く楽しんでもらえるようなサービスの提供に努めているという。

しかし、その一方で近年のサウナブームが転じて、旗艦店の一つである大井町店はサウナ好きにも注目されるようになっている。

2019年に大規模リニューアルした際は、熱風が吹き荒れる岩盤浴エリアに「プロジェクションマッピング《ロウリュウ》」を導入。「光るサウナ」として、光と音楽による新しいロウリュウ体験を提供したところ、若い客層からの評判がよく、安定した集客につながるコンテンツになっている。

コロナ禍でも衰えぬサウナブームでパンク寸前!? サウナは「ブーム」から「文化」に昇華する_1
プロジェクションマッピングロウリュウが体験できる@大井町店
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「スチームサウナでは、ヨモギの香りを充満させ、高熱の空間にしたところ、コアなサウナファンに刺さり、好評をいただいております。さらに今年の初めには、従来の設定温度である80~90℃よりも+10℃高めた“ストロングスタイル”を試験的に実施したところ、若者ニーズを捉えることができました。

サウナに特化した店舗づくりをしてしまうと、常連のお客様やロイヤリティの高いお客様の離反に繋がってしまうため、まずはできることから取り組んでいき、サウナファンにも応えられる店舗運営を行っていければと思っています」

郊外型の店舗である港南台店では、今年6月にテントサウナを設けたポップアップを期間限定で開催したという。

イベント性のある取り組みで、集客効果は高かったそうだが、「やり方を一歩間違えると、お客様満足度を下げてしまう」ことに加藤氏は言及する。

コロナ禍でも衰えぬサウナブームでパンク寸前!? サウナは「ブーム」から「文化」に昇華する_2
サウナストーンはイベント性は高いが…

「お客様はイベント的にセルフロウリュウを楽しみにされていますが、サウナストーンに水をかけすぎると、サウナ室内の温度が下がってしまうんです。なので、施設側で適正な温度調整を図る努力をすることが課題だと気づきました。それでも、こうしたトライアンドエラーを繰り返しながら、今後もサウナファンの期待に応えられるようにいろいろと模索したいと考えています」