「お風呂」と「不動産」の意外な親和性

新規出店する物件情報は、グループシナジーを活かして連携しており、常に先を見据えた店舗の開発に取り組んでいるという。

不動産デペロッパーが温浴事業を継続的に行っているのは他に例がなく、東京建物では、「おふろの王様」を“キラーコンテンツ”のひとつとして使えると認識しているそうだ。

「新規出店時のエリアの選定も不動産と近しいところがあり、商圏人口の数や近隣に競合となりうる店舗がないこと、将来的な街の発展性があるか、どのような利用ニーズが考えられるかなど、エリアごとにポテンシャルが変わってきます。いわば温浴事業は不動産と非常に親和性のあるもので、補完し合えるような関係性を保てているからこそ、今でもおふろの王様が市場に残ることができている所以だと考えています」

現在、おふろの王様は首都圏を中心に10店舗展開している。

10種類以上の豊富なお風呂はもとより、エステやボディケアといったリラクゼーションや美味しい食が楽しめるレストランなど、幅広いサービスを享受できるのがユニークな点と言える。

一社員のアイデアから始まった人気スーパー銭湯「おふろの王様」が業界で生き残る意外な理由_2
メインダイニング王様の食卓@和光店

元来、お風呂や温泉好きの日本人をターゲットにしてきたが、さまざまなサービスを提供するようになったのは「美容や健康、そして人同士がふれあえる憩いの場を目指し、進化させてきた」と加藤氏は語る。

「第一世代は『入浴特化型施設』としてお風呂の湯種を豊富に揃え、さらには湯上り後の散髪や飲食のニーズに応えるために理髪店や食事処を設けてきました。そして、第二世代は『複合型施設』という形で、健康や美容のアプローチを強化し、店舗内にあかすりやタイ古式マッサージ、エステなどを取り入れていきました。また、この頃から天然温泉や岩盤浴にもこだわり、より多様なお客様に満足してもらえるよう企業努力を行ってきました」

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