〝バーチャル警備員〟の応用形がAIルフィ
説明会に同席していた、セコム株式会社と
株式会社ディー・エヌ・エーの担当者にうかがったAIルフィの誕生秘話———。
そもそもセコムとDeNAが協力して、〝バーチャル警備員〟を作るプロジェクトがあったという。
セコムの持つセンシング技術と、DeNAが持っているAI技術。
これを組み合わせれば「警備員さんの自動化、効率化」ができるのではないかと。
24時間リモートで監視してくれて、会話もできるAI警備員。
そんなことができたら、さらに人々の安全が確保できる。
そこでまず人間の警備員の姿をベースに、実写のような3Dモデルを作ったそうだ。
本物のような安心感が、そばに。これは心強いはずだ。
ところがいざ実際に出来上がった警備員の実写CGモデルは違和感の強いもので、いわゆる「不気味の谷」と呼ばれる、ロボットなどの見た目が人間に近づく過程で気持ち悪く見えるポイントを越えられていなかったものだったとのこと。
反省を活かし、キャラクターのグラフィックを日本人が慣れ親しんだアニメ風の警備員モデルに見直すとともに、自然な動きになるよう動きのロジックも改良。
契約先や自社施設でのフィールドテストも重ね、そこで得られた知見をベースに、応対者の言葉がどう認識されたかわかるよう画面で表示したり、設置空間に一層なじむように筐体の側面もミラー状にするなど改善を重ねて「バーチャル警備システム」が完成。今年1月に発売を開始した。
だが、警備だけの利用にとどめてしまうだけではもったいない。これは他の用途でも活用できるポテンシャルを秘めている気がする…。
そんな時、DeNAの違うチームで「集英社DeNAプロジェクツ」が発足した。
2社で会社を作り、新たなエンタメを創造しよう。
この流れはDeNAのバーチャル警備員チームの耳にも届いた。
そうだ、愛らしくデフォルメされた集英社の人気キャラクターが登場して、ファンとコミュニケーションができるようにしたら、新たな地平が開けるかもしれない。
このプロジェクトは漫画・アニメとの親和性がとても高い。
そうしてバーチャル警備員チームは開発してきた技術を活かし、エンタメ分野でも活用できる可能性を探る———。
これが〝AIルフィ〟誕生の始まりだったそうだ。
……想像した以上に熱い話だった。
最初「ルフィが受付できるの?」とか思ってしまい、申し訳ございません!
まだ未完成のAIルフィをみんなで育てよう
高い完成度を見せているAIルフィだが、まだまだ実験中。
実装可能な技術はたくさんあるそうだが、まずは「ルフィと喋れたら人はどんな反応をするだろう?」という情報収集のフェーズだ。
実験期間中に新しいセリフも増やせるそうでその都度、話しかけた人の反応も見ていくという。
そして成長したAIルフィは今後、『ONE PIECE』にまつわるイベント会場に行ったり、駅や空港で観光案内をしてもらうことも想定しているという。
「ナミにここにいろって言われたから」と、おとなしく集英社にいるルフィ(AIルフィに、ナミについて聞くと、このように答える)。
これからその内蔵エピソードだけでなく、システムそのものが肉付けされていくと思うと心躍る。
集英社にいらっしゃる関係各位のみなさま。
集英社神3ビルに行くことがあれば、AIルフィに話しかけてもらえると幸いです。
みんなで話しかけて、みんなのAIルフィを成長させましょう!
【AIルフィ実証実験】
期間:2022年3月24日(木)〜4月15日(金)
場所:集英社神保町3丁目ビル 受付横
※来社された方や社員の方限定となります。実証実験のため一般公開はございません。
※SNSへの投稿は行っていただいて構いません。
※今夏に一般向けの実証実験を予定しております。
「少年ジャンプ+」で連載中の、サクライタケシ『すすめ!ジャンプへっぽこ探検隊!』で、このAIルフィのルポ漫画「サクライ神保町でルフィに会う!!」が公開された。この記事と合わせてお読みください!
https://shonenjumpplus.com/article/entry/heppoko_65
スチール撮影/和田篤志 動画撮影/集英社オンライン編集部 取材・文/藤下元気(オムカレー)
©尾田栄一郎/集英社・フジテレビ・東映アニメーション