よく似ている? タイ人と日本人の衛生意識

現在のタイの感染者数は1日1000人前後と落ち着き、ワクチン接種も人口の75%を超えた。公共の場でのマスク着用義務は6月に撤廃されている。それでもタイ人の多くはしっかりマスクを着けているし、店頭での消毒や体温検査も行っているという。このあたりは日本人の感覚に近いようだ。

衛生意識は日本人そっくり⁉ コロナ禍からの復活を期すバンコクの今を、『地球の歩き方』編集室に聞く_2
人気の屋台やレストランが並ぶ中華街でもマスク姿が目立つ(写真提供:水野純)

それにタイでも、密を避けるマインドが広がってきている。コロナ前、地下鉄やBTS(高架鉄道)のラッシュアワーの混雑は東京並みだったが、いまはかなりゆったりしている。テレワークが進んでいるのだろう。また宅配サービスも普及した。

「人気の食堂を取材したのですが、お客さんが全然いないんです。でも厨房では慌ただしそうに調理をしていて、できた料理を宅配のバイクがどんどん受け取っていく」

もともとレストランや屋台での「お持ち帰り文化」がさかんなタイでは、デリバリーへの対応がしやすかったのだろう。

衛生意識は日本人そっくり⁉ コロナ禍からの復活を期すバンコクの今を、『地球の歩き方』編集室に聞く_3
観光名所ウィークエンドマーケットの入口に検温機が設置されていた(写真提供:水野純)

「消毒薬を持ち歩く人もいますし、電車に乗るときは改札の前で体温チェックがあります。ショッピングモールなどの入口にも検温機が置かれていたりしますね」

おおらかな国民性と言われるタイの人々の意外な(?)慎重さというわけだが、そうなると気になるのは外国人旅行者への視線だ。日本のように、外国人を受け入れるのは時期尚早といった空気はないのだろうか。

「それは大丈夫だと思います。衛生面でマナーを守っていれば心配することはありません」

と、水野さん。タイ人のホスピタリティは健在というわけだが、そんなタイもワクチンの接種証明か陰性証明があれば、入国時の隔離など行動制限はすべてなくなっている。これを受けて欧米や韓国の旅行者が増えてきた。

そのため、これまではスタッフを減らして半分だけ営業していたようなホテルも「本格稼働」を目指しているが、急な需要回復に追い付かず人手不足のところも。

「取材を申し込んだホテルから、人が少ないので対応できないと断られたこともありましたね」

それに取材をした8月は酷暑にして雨季というなかなかにハードなシーズン。

「マスクをして地図のチェックに歩き回るのはたいへんでした」

と、水野さんは苦笑する。やはり差し替えの物件が多いためその作業や、既存の物件のデータも変わっているところがあり、確認に手間取ったそうだ。

衛生意識は日本人そっくり⁉ コロナ禍からの復活を期すバンコクの今を、『地球の歩き方』編集室に聞く_4
バンコクではBTS駅でも抗原検査キットの自販機が置かれている(写真提供:水野純)

こうして年末に刊行予定の『バンコク編』も約2年ぶりの改訂となる。もちろん感染対策のページも用意する。出入国の際の検疫に関する情報や、タイの感染対策の紹介なども盛り込み、古い情報をすべて差し替える。