『告白』(湊かなえ/双葉文庫)
人気作家・湊かなえのデビュー作で、2009年本屋大賞を受賞した『告白』。「娘がクラスの生徒に殺された」と、ある中学校教師の告白から始まり、章ごとに級友、犯人と語り手を変えながら、衝撃の事件の全体像が明かされていくという内容だ。
田村 小説が好きになるきっかけとなった一冊です。先が全く読めないストーリーで、物語の序盤から衝撃的な内容が続いて、初めて読んだときはびっくりしました。こんな驚きが活字で味わえるんだ、と新鮮でした。湊かなえさんの他の作品にもいえることですが、ずっと同じ人物の視点で進むのではなく、語り手がさまざまに入れ替わるなかで物語が動いていくところが面白いと思います。
『ゴールデンスランバー』(伊坂幸太郎/新潮文庫)
『重力ピエロ』『アヒルと鴨のコインロッカー』でも知られる伊坂幸太郎の代表作のひとつ『ゴールデンスランバー』。巨大な陰謀に巻き込まれ、首相暗殺の濡れ衣を着せられてしまった青年・青柳雅春の決死の逃亡を描いている。
田村 お兄ちゃんの本棚にあって、「すっごく面白い」と勧められたので読んでみました。分厚い本なので最初は読み切れるかなと思ったんですが、最後の最後まで何が起こるかわからない展開が楽しくて、ぐっと引き込まれました。そして最後に、そう終わるんだ!って。一番おすすめの小説を聞かれたら、『ゴールデンスランバー』と答えるくらい、好きな作品です。
『medium 霊媒探偵城塚翡翠』(相沢沙呼/講談社)
「このミステリーがすごい!2020年版」(国内編)第1位、「2020本格ミステリ・ベスト10」国内ランキング第1位、「2019年ベストブック」ベストミステリー賞の3冠を獲得した本作。推理作家として難事件を解決してきた香月史郎は、死者の言葉を伝えることができる女性、城塚翡翠と出会う。一方、巷では証拠を残さない連続殺人鬼が人々を脅かしていた。事件の解決には翡翠の力が頼りだが、殺人鬼の魔手は密かに彼女へと迫る。
田村 とある撮影のときに小説が好きだという話をしたら、プレゼントしてくださって出会った一冊です。読んでいるときの少しの引っかかりが読み終えた後に回収されてハッとしました。全てが繋がっていて、ミステリーの面白さが詰まっている作品でした。今までにあまりなく新しく感じる内容だったので、未知の世界を読んでいるようで楽しかったです。