今後も当て馬が出る予定はありません!

――7月25日に『簡ロマ』の5巻が発売されました。ついに結ばれた真田(亮司)と鹿嶋(幸)は大学生になり、2人のSMプレイが見どころになっているのかなと。

担当編集(以下、担当) 5巻からは『大学生編』『SMステップアップ編』の2軸で物語が進んでいきます。今まで他者に殴られて快感を得ていた鹿嶋ですが……。

瀬森菜々子(以下、瀬森) 大学生になったというのも、もちろんあるのですが(笑)、暴力から快感を得る“だけ”ではなく、真田と鹿嶋二人でSMプレイに挑戦するなどして、鹿嶋自身の性癖を整理していく機会を作れればな、と思っています。

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『簡易的パーバートロマンス』5巻表紙(左:真田亮司、右:鹿嶋 幸)

――真田のモデル事務所の先輩・(樋橋)葵や鹿嶋の大学のサークル仲間など新しいキャラクターも続々と登場していますよね。

赤原ねぐ(以下、赤原) 葵が登場した時は、読者のみなさんがすごく不安になっていましたね(笑)。

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『簡易的パーバートロマンス』5巻  p.56 葵初登場シーン(右:真田、左:葵)

担当 そうそう。「真田にちょっかいを出さないでほしい!」といろいろ言われていました(笑)。なので、帯にも「※当て馬は出てきません」と注釈を入れたんです。

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『簡易的パーバートロマンス』5巻裏表紙 帯に「※当て馬は出てきません」という記載が

赤原 真田のサークル仲間も危惧されていましたからね。「鹿嶋のこと好きになっちゃうんじゃないか」みたいな(笑)。

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『簡易的パーバートロマンス』5巻 p.39 鹿嶋が漫画研究会への入部を決めるシーン

瀬森 鹿嶋は確かに“いい顔”なのですが、あそこまでの強面をすぐ好きになる人はあんまりいないかなと思うので「安心してください」と言いたいですね(笑)。というのも、私も赤原先生も、間男的存在にあまり興味が湧かなくて……。真田と鹿嶋においては間男が入ってきてもお互いのことしか見ていないので、どうにもならないというのもありますし。なので今後も出てくることはないです(笑)。

――安心して読めるのは一読者としても嬉しいです(笑)。また、同棲打診を鹿嶋がするという展開には驚きました。

瀬森 かなり相談したシーンですね。赤原先生にたたき台を見ていただいて、「どう思いますか?」と意見を聞きました。鹿嶋から同棲を打診することは決めていたのですが、最初はこれまで通り不遜な態度で真田に伝える展開を考えていました。

赤原 そのプロットを読んで、私から「鹿嶋も緊張していてほしい」とお伝えしました。鹿嶋も成長しているはずなので、「断られたらどうしよう」と不安に思っているのではないかと。何よりその方が絶対にカワイイだろうなと(笑)。そこで握った手に少し汗をかかせてみたり、真田から承諾を得た際にはホッとした表情を入れたりしました。

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『簡易的パーバートロマンス』5巻 p.161 鹿嶋が真田へ同棲を打診し、真田が承諾したあとホッとした鹿嶋の表情に注目

瀬森 おかげですごくいい話になったなと感じています。物語が始まった当初、鹿嶋は他人のこと一切を気にしないタイプでしたけど、真田を好きになってからは、「俺はこう思うけどお前はどう思っているんだよ?」と真田の反応をすごく気にするようになった。だから前までは考えが及ばないことも考えられるようになっているのではないかと。真田と過ごす過程で、鹿嶋も成長していてほしいという気持ちもありましたね。