縮まらない中国との開発力の差

一方の日本はどうか?

日本の第5世代ステルス戦闘機開発がスタートしたのは、2014年のJ-31デモ飛行から遅れること2年後の2016年である。三菱重工が中心となってステルス実験機X-2をデビューさせた。

ただ、X-2はあくまでもステルス技術を得るための小型実証研究機にすぎず、テスト飛行は32回で終了している。また、X-2が将来、武装したり、量産を前提とした設計計画はなく、日本が本格的なステルス国産機を製造し、F-3として開発・導入できるのは早くても2035年頃とされている。

たとえ、F-3が将来、次世代の「第6世代」戦闘機の範疇に入ったとしても、中国のJ-31が2014年にお披露目されていることを考えれば、我が国の開発スピードは中国に大きく立ち遅れていることは明らかだ。

そうでなくても、文科省の最新報告で自然科学分野の研究論文数、トップ論文引用数、注目論文数のすべてのランキングで、中国がアメリカを上回ったことが指摘されている。科学研究は経済や産業の競争力の源泉であり、AI技術や量子技術など最先端の技術を含め、国家の安全保障に大きく関わっている。

要は国家が相当の力を入れないかぎり、とくに先端分野である戦闘機開発は世界に追いつけない。日本では三菱重工が機体設計、IHIがエンジンなどの開発を進めているが、民間企業には資金や人材の限界もあり、官民のオールジャパンで取り組みが必要だ。同じく戦闘機を開発する同盟国との連携をさらに強化しないと中国との差は一向に縮まらないばかりか、どんどん離されていくだろう。