J-35ステルス機で大幅アップする中国の空母打撃力

そのJ-31をベースに艦上機と設計されたJ-35の出来栄えはどうだろう? まず目を惹くのはデザインだ。燃料と多用なミサイルを収納するために、胴体と主翼のデザインが刷新された。また、翼端は空母艦載に対応できるよう折り畳み翼が採用され、ランディング・ギア(降着装置)も離着艦用に強化されたようだ。

さらに垂直尾翼もF-22似からF-35似のデザインに変わり、エンジンもロシア製エンジンから性能アップした国産の「WS-19」2基へ、エンジンノズルもよりステルスに適した形状の鋸歯状へと進化している。

今年6月に進水した電磁式カタパルトを備えた中国第3の空母「福建」の就役は2024年頃と見込まれる。J-35はこの「福建」就航とタイミングを合わせ、同空母の艦載機として運用が開始されるはずだ。「福建」とJ-35の加入で、中国の空母打撃力は大幅に強化されるのは確実だ。

中国の最新鋭ステルス機「J-35」がデビュー。2024年“実戦配備”で日本が見る悪夢_02
今年6月に上海で進水式が行われた中国第3の空母「福建」。米空母以外では世界初となる艦載機を発進させる電磁カタパルト(射出機)を搭載しており、2024年に就役する見込みだ
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現在、中国は「遼寧」と「山東」の空母2隻を保有しているが、「福建」の就航で3隻体制となる。そうなれば、運用、メンテンナンス(補強)、訓練のローテが可能となり、1隻は常時、作戦行動に就けることになる。

しかも、「遼寧」と「山東」が艦載機の離着がスキージャンプ式で、武器の積載量などにも制限があるのに比べ、「福建」は3基の電磁式カタパルトで迅速な離着艦ができる。

艦載機数もJ-35は従前のJ-15より小ぶりなため、少なくとも3個飛行隊は十分、搭載可能で、さらには電子作戦機や早期警戒機など6~7機を加えれば、総積載機数は42~50機にもなると予測される。

J-35には将来、飛行中に複数の偵察・攻撃無人機を僚機として運用するチーミング構想も浮上しており、その貢献度は計り知れないと言うべきだろう。