WBCでの“大谷ルール”適用は?

出場に向けたふたつ目のポイントは、大谷が他ならぬ二刀流ということだ。WBCは来年3月8日から21日までの約2週間で行われる。

先発投手だと、中5日でも登板機会は2度程度。あらかじめ大谷の登板を初戦と決勝ラウンドと絞り込めば、2月からの調整もしやすくなるし、「1度だけの登板」を条件とすれば、さらに出場の可能性は高くなるのではないか。

一方で、打者での起用専念となれば、さらにハードルは低くなる。投手に比べて故障の怖さが少ない打者なら、より試合に関与するシーンも増えるだろう。

もちろん、理想は登板のない日には指名打者で、先発の日はマウントを降りたら指名打者で出続けること。そう、メジャーでの“大谷ルール”がWBCでも適用されるとなれば、チームへの貢献度は極めて高くなる。

いずれにせよ、過去の大会では「投手のみでの参加か、打者限定か?」と選択を迫られた大谷だが、今回は“大谷ルール”も含めて、二刀流での参加に追い風が吹いているといえそうだ。

最後に、大谷出場のカギを握ることになるのは、やはり恩師の栗山英樹監督だ。大谷自身も「自分を理解している方。やりやすいかなと思うし、より頑張りたいなと思う」と発言しており、栗山監督も「(大谷を口説くのも)大きな仕事」と言っていた。

国際大会の実情を知るメディア関係者からは「大谷ほどの選手になってしまうと、スポンサーやバックアップする組織も大きくなる。声をかけようにも、個人の人脈や人間関係だけでは通用しなくなるんです」との声も聞こえてくるが、大谷の場合は、少し状況が違うとも。

他球団の高額オファーを蹴ってエンゼルスに入ったときのように、さらには投球後、嬉しそうに打席に向かうときのように、今、純粋にWBCという国際大会への出場に、好奇心を抱いているかのように見える。

それならば、安心できる監督とともに戦うこともメリットにこそなれ不安要素にはならない。そして奇策を好む栗山監督が、いかにメジャー球団側の心配を取り除き、かつ大谷の魅力を最大限に引き出してくれるか。

これまでWBCには出ないとばかり思われていた大谷だけに、彼のひと言で楽しみは大きく膨らんだ。