リランキングを増やすメリット
小山氏は話しながら、少し困惑の表情を浮かべた。女子ツアーが隆盛を極めて試合数、賞金総額、注目度などのすべてが向上するのは、何も困ることはないように思えるのだが……。
「仮に賞金シードの下限が3000万円だったとします。それで例えば、ある年はシード選手で2900万円稼いだとします。立派な収入ですよね。でも3000万円に届かずに翌年のシードは得られなかった。しかもQTにも失敗した。そうすると翌年は試合に出られず、全く稼げない。これでは選手たちは困るわけです。税金が払えない。シード下限の賞金額が上がれば上がるほど、この傾向は強くなります」
2022年からシード権争いは獲得賞金ではなく、試合(海外メジャーも含む)ごとに設定されたメルセデス・ポイントの獲得数で競うので、厳密には「シード下限の賞金額」は存在しない。しかし、前半戦19試合の獲得賞金額のランキングとメルセデス・ポイントの獲得数ランキングは、ほぼイコールである。
2022年の日本女子ツアーは全38試合。前半戦終了後の第1回リランキングに続き、今年は9月末の第29戦「ミヤギテレビ杯 ダンロップ女子オープン」終了時点で第2回リランキングが行われる。タケ小山氏は複数回のリランキングについてはこう評価する。
「とてもいいことだと思います。出場優先順位の低い選手は少ないチャンスをモノにするために必死になって仕上げてきます。試合に出られないので、時間はありますから。調子を上げて良い結果が残せれば次の出場機会につながっていく。QTでたまたま実力を発揮できなかった有力選手にとってはリベンジの機会が増えるわけだし、発展途上の若手選手にとっては、のし上がっていくチャンス。もっと広い意味で言えば、人材発掘の取り組みとも言えると思いますよ。リランキングをもう一回、つまり、シーズンを4分割して3回やればもっといいのに」