“白山通り背脂御三家”最後の砦
背脂ラーメンは、歴史を辿れば「環七ラーメン戦争」が有名だ。
東京都道318号環状7号線・通称「環七」沿いに、1980年代後半から1990年代にかけて、多数のラーメン店が現れ、連日ラーメン店に向かうタクシーや乗用車がひしめき合っていた。代表的な店のひとつとして語られるのが背脂チャッチャ系の「土佐っ子」だった。
一方、90年代に白山通りにも名店と呼ばれるお店が集中して存在していた。特に「巣鴨ラーメン」「白山ラーメン」そしてこの「千石自慢らーめん」の3店は“白山通り背脂御三家”とも呼ばれ、多くの人々に愛された。
「巣鴨ラーメン」「白山ラーメン」は閉店し、この「千石自慢らーめん」だけが残っていた。
筆者が初めて「千石自慢らーめん」を訪れたのは約20年前の大学生の時。当時は立ち食いのお店で外まで長い行列ができていた。ラーメンが520円で、味玉が50円。目の前で豪快に10数杯を一気に作っていて、「1杯目と10数杯目の麺のかたさってどうやって調整しているんだろう?」と思ったものだ。
「土佐っ子」などに見られる背脂を上から振りかける背脂チャッチャ系と違い、「千石自慢らーめん」は醤油ダレに背脂を合わせ、その上からスープを注いでいる。背脂と聞くとギトギトのイメージが強いが、意外にもマイルドで食べやすく、しっかり作られたラーメンだ。