未成年の踊り手をアップで映した動画も…

被害は祭りの本番だけでなく、日々の練習にも及んでいる。

阿波おどりの練習は、一般に公開されることも少なくない。屋外では夜間になると撮影しにくい一方、大きなホールなどで行われる室内練習は照明が明るく、踊り手の姿が鮮明に映る。そうした環境で、女性の身体の一部を強調するような撮影が行われ、SNSに投稿されるケースがあるという。

大人に交じって踊る未成年の踊り手をアップで映した動画も確認されている。

こうした被害を避けるため、現場では踊り手側が対策を取らざるを得なくなっている。女性たちは下着が透けにくい黒っぽい服を着用し、下着のラインが出ないようスパッツをはく。

徳島駅の阿波おどりアート(写真/PhotoAC)
徳島駅の阿波おどりアート(写真/PhotoAC)

衣装を着る際には、風で着物の裾がはだけないようピンで留めるなどの対策も行なっているという。

「本来なら猛暑の中でこんな重ね着はさせたくありません。費用面や踊りやすさの観点からも大きな負担になっていますが、現状はそうせざるを得ないのです」

立川氏は、撮影者ではなく、踊り手側に負担を強いている現状に憤りをにじませる。

こうした不適切な撮影を行う人物は、地元だけに限らず、県外から訪れるケースもある。阿波おどりの運営関係者によると、SNSの再生数を稼ぐ目的などで、遠方から撮影に来る人物もいるという。

また、県内や地元の人物が望遠レンズを使い、女性踊り手の身体の一部を狙うように撮影するケースも確認されていると阿波おどりの運営関係者は言う。

「ある男性に『あなたのSNSアカウント、お尻や胸ばかりの映像が多いよ』と直接注意したことがあります。地元ですから、『あの人が女性の身体を強調した投稿をしている』と、すぐに話が入ってくるんですよね。

相手は無言で苦笑いを浮かべて去っていきましたが、反省するわけではなく、後日また平然と撮影に来て、同じような動画を投稿し続けています。

(写真/PhotoAC)
(写真/PhotoAC)

さらに異様なのは、そうした悪質な撮影者の一部が、自らのYouTubeアカウント名などを記載した名刺を差し出して挨拶してくることです。自分から身元を明かしてくる相手に対し、『あなたのアカウント、不適切な動画が多いけれど、どういうことですか』と問いただしても、やはり苦笑いしてごまかすだけでした」(阿波おどりの運営関係者)

こうした状況を受け、動画撮影の全面禁止や、撮影許可証制度の導入を求める声も出ている。