25歳の青木真也が語っていた「プロとは何か」
18年前、真夏日を記録したインタビュー当日、25歳の青木は道場に上半身裸のまま自転車でやってきた。
〈今朝、ここまでチャリで来たんすけど、道ですれ違う人がみんな僕のこと見てくるんですよ。チャリこぎながら、なんで自分のこと見てんのかな〜って考えてたら、あ、俺、ハダカのまんまだって気づいたんすよ〉 (『週刊プレイボーイ2008年8月18・25日号』、以下引用内同)
当時の青木は、永田克彦、宇野薫ら実力者を破り、総合格闘技界で一気に存在感を高めていた。カラフルなロングスパッツを身につけ、リングでは相手の関節を狙い続ける。勝っても負けても感情を隠さない。
「バカサバイバー」。
そんな呼び名が似合う青年だった。インタビュー中もよく笑った。高校時代に柔道を続けたモチベーションについて聞くと、こんな話をした。
〈高校時代、『強かったらめちゃモテるぞ』って言われて、それを信じて『強くなったらモテるんや……強くなったらモテるんや……ウォォォー、じゃあ俺、絶対強くなろう!』って、練習いっぱいするんだけど、どんだけ強くなってもなんにもモテなかったんですよね(笑)〉
動機としては、あまりに青臭い。しかし振り返れば、その言葉には青木真也という格闘家の生き方がすでに詰まっていた気がする。
欲しいものがあるなら、自分を追い込めばいい。 強くなればモテるというなら、誰よりも強くなればいい。 一方で、青木は25歳にして「プロとは何か」についても独特の持論を持っていた。
〈極論だけど、オナニーしちゃダメなんですよ。お客さんとSwingしないと。わかるかな〜。Swingしてお客さんと一緒にバーンと波になる感じ。『Swing』が『手淫ぐ』になったらつまんないんですよね(笑)〉
言葉は下品だが、言いたいことは明快だった。
いや、本音を言うと、何を言っているのだろうと思った。
自分だけが満足していても意味がない。客の感情を動かして初めて「プロ」の仕事になる、ということだと後に分かった。25歳の青木の視線の先には、すでに観客がいた。
そして43歳の今。
あのとき、学生時代は「なんにもモテなかった」と笑っていた男が、これほど多くの人の人生に入り込むとは想像していなかった。















