株価を決めるのは、もう人間ではない
2026年8月10日に配信した集英社オンラインの記事『「AI関連株を買えば儲かる」はもう古い…35年市場を見てきた国際的投資家が語る「これから本当に上がる企業」の条件』で、私は「AIはブームではない。時代そのものである」と書いた。
AIを半導体やデータセンターといった一つの投資テーマとして見るのではなく、金融、製造、医療、教育、司法、国家そのものと掛け合わせるAIXという視点から見なければ、この革命の本質は理解できない。そしてAIは、資本主義そのものを書き換え始めているとも書いた。
では、その資本主義の心臓部である株式市場はどうなるのか。
私は35年以上、株式市場を見続けてきた。バブルも見た。暴落も見た。仕手相場も見た。ITバブルも、リーマン・ショックも、アベノミクスも、コロナ相場も経験した。そこで今回は、少し乱暴に聞こえることを承知で、一つの仮説を書いてみたい。
「株価を決めるのが、人間ではなくなる」
いや、正確には、すでにもうその入口まで来ている。
情報そのものが売買を発生させる市場へ
いま世界の市場では、アルゴリズム取引が当たり前になっている。人間がニュースを読み、決算書を開き、電卓を叩き、「この株は安い」「この株は高い」と考えて注文を出していた時代から、市場はとっくに変質している。
しかしAIの登場は、その延長ではない。
これまでのアルゴリズムは、基本的には人間が決めたルールを高速で実行する機械だった。
ところがAIは違う。膨大な決算資料、ニュース、SNS、為替、金利、商品価格、オプション市場、地政学情報までを同時に読み込み、そこから相関関係を探し出し、自ら判断材料を作ることができる。
人間が1時間かけて読む決算資料を、AIは一瞬で処理する。人間がテレビで要人発言を聞き、「これは円高材料ではないか」と考えている間に、その発言は文字情報に変換され、意味を解析され、世界中の市場で注文へ変わっている。
つまり、情報を知った人間が売買する市場から、情報そのものが売買を発生させる市場へ変わりつつあるのである。
ここに、私はAIX時代の株式市場における最大の変化があると思っている。













