公孫勝と林冲の言い合いから感じた“漢”
──梁山泊もいよいよ動き出しそうですね。晁蓋が刀を打つことで決起の決意を固める場面があります。ただ、宋の軍を排除して鄆城を解放したものの、鄆城で商売をするとほかの町でできなかったり、城内の治安が悪化するなど、宋からの妨害があってうまくいきません。
でも、今のところ梁山泊軍はめちゃくちゃ強い。負け知らずです。
──まだ梁山泊の全貌がわかっていないから、宋が梁山泊を舐めているところもありますよね。
そうですね。宋に人数で押されたら、梁山泊軍もまだ勝てないでしょう。でも梁山泊の致死軍は千人力です。神出鬼没の強力な部隊ですから。
──ところが、この巻の致死軍は、宋の王和が率いる精鋭を集めた部隊とぶつかって、途中までは押されていたんですよね。
そこへ林冲が駆けつけて逆転する。致死軍のリーダーの公孫勝がけがをして帰ってきて、林冲と言い争いになった場面がありました。林冲が「なぜ、私の到着を待たなかった」と言うところからのやりとりがよかったですね。
「林冲の騎馬隊が、あれほど速かったとはな。私は、官軍の騎馬隊の速さをもとに、考えていたのだ」
「笑わせるな。俺が調練を続けた騎馬隊が、官軍の騎馬隊より速いのは当たり前だ」
「私に、謝らせようとしているのか、林冲?」
「そんなことではない。致死軍も、動きを考えろと言っているのだ。いつまでも、致死軍だけではあるまい」
「致死軍は、致死軍だけなのだ。ほかの誰も当てにしない。しかし、当てにはされる。そういう軍であろう、と努めてきた」
「傲慢な男だ」
「私は、誇りの話をしている」
(北方謙三『水滸伝』第四巻「道蛇の章」集英社文庫 p151)
まさか公孫勝と林冲が言い合いするとは思っていませんでした。二人はお互い完璧なところは似ているけれど、両極端なキャラ。その二人の言い合いに、“漢だなあ”と感じて、いいなあと思いました。お互いに目指す場所は同じ。だからこそ、考え方の違いが歯がゆくもある。読者も歯がゆいでしょう、あのくだりは。
──たしかに。梁山泊はまだできたばかりで、まだまだ練れていないんでしょうね。相互の信頼感がこれからの課題でしょうか。
ここからですね、お互いを信用して連携を取って戦うようになるのは。僕(史進)もまだ梁山泊に入っていません。
あれ? 史進は四巻ではまだ王進先生のとこにいるのかな? そのへんのことは書かれていないからわからないけれど、きっとまだ王進先生のところで修行しているんでしょう。
──四巻は、史進はお休みでしたね。
噂だけ。敵の青蓮寺の間で少華山の頭目が代わったという話が出てきました。少華山は頭目が朱武になって、史進が率いていた時よりも叛乱軍的になってきたと警戒され始めていました。














