作業指揮者より上役がいた日に起きた事故

8月20日午前の事故当時、新鹿沼駅周辺では除草作業のため東武鉄道から仕事を受けた元請けの東武建設(栃木県日光市)の社員2人と、同社から発注された孫請けのX建設が手配した5人、さらに警備会社2社から来た見張り役3人の計10人が活動していた。

東武建設の社員は、一人は「作業指揮者」と呼ばれる作業全体の進行や安全管理を担う責任者で、もう一人が亡くなったEさん(54)だ。Eさんのほか、X建設から来たAさん(65)とCさん(67)、Dさん(53)の3人が上り線の線路上で差しかかった特急に接触し、4人全員が亡くなった。

東武鉄道の説明では、現場の除草作業チームはもともとEさんを除いた9人で構成されていた。

事故直後(地元住民提供)
事故直後(地元住民提供)
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「実際に当日する作業の責任者は作業指揮者となっており、その作業指揮者がチームとしてしっかり仕事をしているかどうかとか、そういったようなことを、各現場を見てまわる作業をしに来ている人間が1名追加でいた」

と20日の会見で東武鉄道の佐藤晃一・施設部長は説明していた。それがEさんのことで、東武建設社内では作業指揮者の男性よりもこのEさんの方が上役に当たると説明した。

事故当時、東武日光方向から新鹿沼駅に近づいてきた特急スペーシアX2号は、上り線の使われていない旧ホームのそばにいた4人に接触している。

そこから約80メートル手前には「列車見張り員」が、同315メートル手前の踏切には「中継見張り員」が、それぞれ一人ずつ配置されていた。この中継見張り員は、「(列車見張り員との)意思疎通が取れない状態にあった」と事故後に東武建設の聞き取りに話している。

さらに列車運転士の話では、現場まで約215メートルの地点に差し掛かった時に、現場側にいた列車見張り員から、進入可能を意味する「列車接近了解合図」が手旗で送られてきたという。

この合図は線路上にいた4人の退避完了を確認しなければ出してはならないサインだったが、4人は退避していなかった。時速約52キロで駅構内に入った列車の運転士は直近で4人に気づき非常ブレーキをかけたが、間に合わなかったという。

記者会見で謝罪する東武鉄道の鈴木孝郎専務(中央)ら(撮影/集英社オンライン)
記者会見で謝罪する東武鉄道の鈴木孝郎専務(中央)ら(撮影/集英社オンライン)