発足時7人だった中央軍事委、活動中は習近平含め2人だけに

習近平国家主席は、中国を支配する共産党と、中国軍である人民解放軍のトップも兼ねている。だが、重要な人事や政策を決める権力を握る、その足元で異変が起きている。自ら選んだ軍幹部を相次いで処分し、一方、国内では住宅不況が長引く。

権力は絶大でも、任せられる部下や、景気を立て直す有効な手立てに苦慮する。そこに習近平の大きな苦境を見ることができる。

自ら選んだ軍幹部を相次いで処分している習近平国家主席
自ら選んだ軍幹部を相次いで処分している習近平国家主席

中国軍の最高指導機関は、中央軍事委員会という。習近平が主席を務め、幹部たちが部隊の運用や軍の人事を担う。ロイターの8月28日の報道では、2022年の発足時に7人いた委員のうち、現在活動中なのは習近平と張升民の2人だけになった。

とはいえ残った張升民は、軍に党の方針を徹底させる政治工作を長く担い、その後、不正の取り締まり役に就いた。つまり中央軍事委員会には作戦畑の軍幹部がいなくなったのだ。

問われる最高指導者の「人を見る目」

1月24日、国防省に当たる中国国防部は張又侠と劉振立を「重大な規律・法律違反」の疑いで調査すると発表した。張又侠は習近平を補佐する軍の最高位の将軍で、父親の代から習家と縁があった。劉振立は、作戦の計画や部隊同士の連携を担う連合参謀部のトップだった。

習近平に近い実力者と、軍を実際に動かす責任者が、そろって調査対象になったのである。8月28日にはこの2人が国家の中央軍事委員会から解任された。

中国には党側にも同名の委員会があり、実務では同じ組織として動く。解任手続きは別で、さらに9月21日、中国国防部は2人を共産党と軍から追放し、職務犯罪の疑いについて軍事検察機関に移送すると発表した。

習近平氏の盟友とされてきた張又侠氏も共産党、軍の双方から追放された(写真/U.S. Marine Corps/Public Domain)
習近平氏の盟友とされてきた張又侠氏も共産党、軍の双方から追放された(写真/U.S. Marine Corps/Public Domain)

その前には、国防相だった李尚福や、軍の最高幹部だった何衛東、苗華も処分された。いずれも習近平の下で重用された人物である。

仮に一連の人事が単なる政敵排除なら、側近で固めた後は落ち着くはずだ。ところが今回は、その側近とみられてきた人物まで排除される人事が続く。これだけ自ら登用した幹部の失脚が続けば、習近平自身の人選をどう評価するかという問題も生じる。

米国で外交や安全保障を研究する戦略国際問題研究所、CSISは、2022年以降の軍幹部の動向を調べた。