在宅勤務の廃止でエンゲージが下がる懸念も
ただし、在宅勤務廃止で悲鳴を上げる現場社員は少なくない。
都内でローカルビジネスのWeb集客支援などを手がける会社の営業担当者は、出社によって「無駄な会議が増えて顧客に提案する内容を練り込む時間が減った」と嘆く。「Slackなどビジネスプラットフォームでやりとりすれば10分で済むような内容を、わざわざ出社して1時間の会議で話し合う必要があるのか」というのだ。
こうした声は現場で働く多くの人から頻繁に聞かれるものだ。
現場社員が望む働き方と、完全出社とのギャップは働くモチベーションに大きく影響する。これが2つ目の従業員のエンゲージメントの維持・向上につながるものだ。
厚生労働省は、人材サービスのパーソルホールディングスがテレワークを積極的に取り入れたことで離職率を5.8%低下させた事例を紹介している。エンゲージメントサーベイの結果では、社員の仕事、働き方の自己選択実感はテレワーク導入前の2020年に比べて18%向上したという。
日本は共働きが一般化しており、子育てをしながら仕事をする人も多い。また、コロナ禍で在宅勤務が進んだことにより、遠方への移住を決意した人もいる。価値観や働き方が変化する中で、一方的に在宅勤務を廃止すると反発を受ける可能性がある。従業員のエンゲージメントが下がりやすくなるのだ。
この在宅勤務廃止によるエンゲージメントの振れ幅については、企業のブランド力に帰結することになりそうだ。
ブランド力や待遇、仕事内容への魅力が高い企業であれば、在宅勤務を廃止しても大きな影響は出ないだろう。しかし、ブランド力の弱い会社で待遇が悪く、データ入力のような単調な作業が多い会社が在宅勤務廃止に動けば、離職率を高めることになりかねない。
在宅か出社かで悩む経営者は、足元のエンゲージメントを確認する必要がありそうだ。













