「誰でも見られるわけではない」録画データの管理体制と活用方法
では、撮影データはどのように管理されているのだろうか。
「映像はカメラ本体で再生することはできず、専用のパソコンでしか確認できません。閲覧できるのも駅長と、駅長不在時は駅長承諾のうえ副駅長のみで、誰でも自由に見られるわけではなく、録画データは駅長の管理のもと適切に保管しています。データは一定の保存容量を超えると古いものから順次消去される仕組みです。
また、鉄道係員には運用マニュアルや指示書でルールを周知しており、使用基準を知らないまま運用することがないよう徹底しています」
録画データの活用方法についてはどうだろうか。
「通常の駅構内巡回では、例えば設備の故障などを発見した際に当該箇所に限った映像を駅長の判断のもと、関係部署やメーカーへ共有し、早期対応につなげています。
また、トラブルや犯罪行為が発生した場合は、事実確認のために映像を確認したり、警察から要請があれば駅長の判断のもとデータを提供したりすることがあります」
現時点では、AIによる自動検知や顔認証などとの連携は検討していないという。
「まずは現在の運用をしっかり定着させることが重要だと考えています。大きな課題はありませんが、『着用に少し負担を感じる』という現場の声もあるため、鉄道係員が無理なく運用できる環境を整えていきたいと考えています」
前出の山田氏は最後に、今回の取り組みについて率直な思いも語る。
「カスタマーハラスメントなどのトラブルは、対応する駅係員だけの問題ではなく、その場に居合わせたお客さまにもサービス提供の公平性等の観点から影響を与えてしまうものです。
だからこそ、駅係員が安心して働き続けられること、そしてお客さまにも安全・安心・快適に駅をご利用いただけることに、この取り組みが少しでも貢献でしていくことに期待しています」
――導入から2カ月という短い期間ではあるものの、小田急電鉄では一定の変化が現れ始めている。ボディカメラは、駅係員を守るだけでなく、駅を利用するすべての人が安心できる環境づくりの一歩となるのか。今後の効果と広がりに注目したい。
取材・文/逢ヶ瀬十吾(A4studio)













