誰もNGを指摘してくれない時代の弊害
「相手のためになりそうだけど、いろいろリスクがありそうだから伝えるのは控えておこう」という経験、みなさんも一度や二度じゃないはずです。
残酷に感じるかもしれませんが、これが現実、というか人間同士のコミュニケーションにおける当たり前です。
誰も指摘してくれない時代、最も危険なのは「自分は正しい」と思い込んだまま突き進んでしまうことです。
たとえばプレゼンの後、上司に「よかったよ」とほめられたり、同僚に「わかりやすかった」と言われたりしたとします。
でも、それは本当に「よかった」のでしょうか。もちろんよかった可能性もあるでしょうけど、単に「波風を立てたくない」からそう言っているだけの可能性も同じくらいあるはずです。
僕たちは「建前の称賛」に囲まれて生きています。飲み会後に「今度また誘ってください」という社交辞令を言うのは常識ですし、「検討します」が実質的な断りであることもよくあります。
僕たちは日常的に「本音」と「建前」を使い分けていますし、当然相手も同じことをしている。にもかかわらず、この建前を真に受けて「自分はできている」と思い込んでしまう。これこそが根本的なボタンの掛け違いです。
心理学では、こうした現象は「ダニング=クルーガー効果」として知られています。能力が低い人ほど自分の実力を正確に把握できず、過大評価しやすい傾向があるとされています。だから、他人のお世辞も本音と受け取ってしまうのです。
一方で、能力の高い人は自分の実力を正確に把握できるので、結果として自分を特別視しない傾向があるとされています。
だからこそ、十分に自己批判ができておらず「自分はできている」と思っている人ほど、実は危ない。自分で自分を疑わなければなりません。
「本当にこれでよかったのか?」
「もっとよくできるところはなかったか?」
「相手は本音を言ってくれているのか?」
この問いを、当たり前にする。
上司が言えなかった「それ、違うよ」を、自分で自分に言う。
調子に乗りそうな自分にダメ出しをする。
それが「セルフ鼻へし折り」です。













