大きなプロジェクトから突然外されて…

大手企業に就職し、同期で一番早く課長に抜擢された片岡さん(仮名、男性30代・企画営業部)は、人を笑わせるのが得意な明るい性格であることもあり、営業成績は常にトップでした。直属の上司にあたる部長からは特に可愛がられ、若くして課長に昇進できたのも部長の推薦のおかげでした。

課長に昇進してからの片岡さんは、仕事が軌道に乗っていくのを実感していました。新規プロジェクトを企画したり、大きな契約を取ったりして、目覚ましい成果をあげていきました。

もちろん、昇進に導いてくれた部長は、誰よりも自分の仕事ぶりを喜んでくれていると思っていました。それまで部長を尊敬し、折に触れていろいろと相談もしてきたので、強い信頼関係で結ばれているとも思っていました。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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しかし、課長になってある程度の裁量権を持たされるようになってからは、次第に自分の裁量で物事を決めることも多くなり、以前のように部長に相談することも少なくなっていきました。これは、片岡さんが意識的に部長に相談しなくなったわけではなく、管理職に就いたがゆえの自然な流れでした。

しかし、昇進から9か月ほど経った頃、片岡さんは、部長が中心になって動いていた大きなプロジェクトから突然外されてしまいました。

このプロジェクトは立ち上げ当初から片岡さんが部長を補佐してきた案件だったので、驚いて外れた理由を聞いたところ、「君も課長になって忙しいだろう」という取って付けたような返答でした。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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その頃から片岡さんは、部長の態度になにか違和感のようなものを覚えはじめます。

その違和感が決定的なものとなったのが、各部門長が参加する月例の営業企画会議でした。会議では新規の企画について自由に発表する時間があり、以前、部長の後押しで片岡さん発案のヒット企画が生まれたこともありました。

この会議で、片岡さんが課長昇進以来温めてきた新企画を発表したとき、真っ先に反対したのが部長だったのです。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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その場で反対の理由を聞いたのですが、「新規性に欠ける」「コスパが良くない」などという曖昧な言葉しか返ってきませんでした。これまでも部長に反対された企画はありましたが、「こうすればいいんじゃないか」という具体的なアドバイスがあったので、今回は明らかに様子が違いました。