一等地の都営住宅に高齢者が格安で暮らす
東京都住宅政策本部によると、都営住宅の名義人の約7割が65歳以上。厳しい所得制限があるため、4人家族の場合、年収500万円以上であれば対象外になる。多くの現役世代は事実上締め出されており、入居は不可能となっている。
この枠を現役世代に大々的に解放すれば子育て世帯が職場の近くに住むことができるのだが、日本最大の人口ボリュームゾーンである団塊の世代が後期高齢者に入る中、表立って対立することはできず、前述のようにJKK東京型の1200戸でお茶を濁している形だ。
広尾や青山といった都心一等地の都営住宅に引退した高齢者が格安の家賃で暮らし、彼らの生活を支える現役世代が家賃の高騰に苦しみ、子どもを生み育てられないといういびつな状況だが、政治的に高齢者を敵に回すことはさすがの「グレートマザー」にとっても難しいのだろうか。
現役世代が安心して子育てをできる環境を用意したいのであれば、23区内だけでも16万戸以上ある都営住宅を順次現役世代に解放する必要があるが、その動きは鈍い。
もっとも、都知事はまだ「やってる感」を出すだけでもマシなのかもしれない。
東京新聞は6月下旬、都市再生機構(UR)が団地を建て替えた後、一定所得以下の高齢者やひとり親世帯などが再入居する際に、家賃を全国一律で半額にすることを決めたと報じた。
都営地下鉄三田線の高島平駅(板橋区)の目の前にある、高島平団地も対象となる見通しだという。
高島平団地は大手町まで直通で約30分と利便性が高い一方、高度経済成長期に建設された施設の老朽化が進んでおり、住民の45%が65歳以上となるなど高齢化が進んでいた。
都内好立地のポテンシャルを活かしきれていない中、住民の新陳代謝を進めるために駅前にタワマンを建設し、若い世代の流入を促し、高齢者の住民には住み替えを促す予定だった。
しかし、高齢者を読者とする大手メディアによる反発を受け、高齢者優遇に舵を切った形だ。都内に近い好立地のマンションに高齢者が半額の家賃で住むことを「美談」として伝えるメディアは決して報じないが、この政策で犠牲となるのは現役世代だ。
現状の歪んだ政策を見直さない限り、アフォーダブル住宅が現役世代の住宅難を解消する事態は未来永劫訪れないだろう。
文/築地コンフィデンシャル 写真/shutterstock













