「“やった感”を出すための小池都知事のレガシーづくり」
アフォーダブル住宅はメディアにも多く取り上げられて問い合わせも増えているという。民間企業の保有するノウハウと東京都の豊富な資金を活用して割安な物件の供給を増やすという取り組みは悪くない滑り出しをみせたといえる。
もっとも、前出のB記者は「あくまで小池都知事のレガシーづくりであり、抜本的な解決策にはならない」と断言する。
24年7月の東京都知事選で石丸伸二氏や蓮舫氏に圧勝した小池氏だが、高市政権の誕生によって女性初の総理大臣になる夢が潰え、3期目はレームダックとなりつつある。
現金のバラマキにせよ手厚い支援にせよ、一連の少子化対策は費用対効果を無視した施策であり、今回のアフォーダブル住宅も同じ仕組みだという。
実際、アフォーダブル住宅は理念こそ素晴らしいが、効果としては焼け石に水との指摘がある。東京都の発表では、民間企業が参加する官民ファンドの供給戸数が350戸、公営住宅を子育て世帯や新婚世帯限定で貸し出す「JKK東京型」が1200戸で、合計1550戸に過ぎない。
冒頭の容積率緩和策などで今後増えていくとはいえ、人口1400万人、総世帯数770万世帯を超える世界有数の大都市において、砂漠に水をまくようなものだろう。
そもそも、東京都内は子育て世帯に適した賃貸物件が少ない。総務省の住宅・土地統計調査によると、東京23区の賃貸住宅は29㎡以下が全体の44%、30〜49㎡の物件が約30%と、圧倒的にシングル向けの部屋が多い。
大手不動産デベロッパーが手掛ける賃貸住宅もほとんどが1Kや1LDKで、そもそも選択肢がないのだ。
一方で、小池都政の大盤振る舞いの子育て政策を受けて、東京を目指す子育て世帯はひきもきらず、需要に対して圧倒的に供給が足りない状況が現在の家賃高騰を招いていた。
「東京都といえども、本気で子育て世帯向けの住宅を増やそうと思ったら予算がいくらあっても足りない。東京一極集中に対する周辺県からの反発もあり、あくまで『やった感』を出すための施策だ」(B記者)
本気で子育て世帯を増やすならば、「聖域」に切り込むことが避けて通れない。その聖域とは、都営住宅だ。
月々数万円で住める都営住宅はもともと住宅を購入できない人々の受け皿として整備された経緯があるが、現在は高齢者の既得権益となっている向きもあり、現役世代にとっては縁遠いものとなっている。













