「責任ある積極財政」と相性が悪かったという点

さらに、12月23日の日経新聞インタビューにおいては「物価高対策としては即効性がないと判断した」と答えている。

しかし、今年1月19日の記者会見で首相は「物価高に苦しむ中・低所得の皆様の負担を減らす上でも、軽減税率が現在適用されている飲食料品について2年間に限り消費税の対象としない」と語っている。この間、わずか1カ月しか経っていない。そして、公約で「ゼロ」を掲げていたにもかかわらず、衆院選から約4カ月後にはいつの間にか「1%」と修正している始末である。

そもそも、「ゼロ」とするためにどれくらいのシステム改修期間が必要なのか調べてもいなかったのか。この半年近くは何だったのかと思いたくもなるだろう。

ましてや、一国のトップが「悲願」とまで言い切ったのに、その程度の認識しか持っていなかったことに呆れてしまう人も少なくないはずだ。これでは「国の品格」が疑われる。

1つだけ同情するとすれば、高市内閣が誕生したタイミングは自身の掲げる「責任ある積極財政」と相性が悪かったという点だろう。首相は、衆院選大勝直後の記者会見で消費税減税に関し「2年分の財源を確保した上で、できるだけ早く実現できるよう知恵を絞っていく」と語り、財源には補助金や租税特別措置見直しで賄う意向を示した。

高市政権が掲げる「責任ある積極財政」を力強く後押しする意向を示している「責任ある積極財政を推進する議員連盟」(高市氏Xより)
高市政権が掲げる「責任ある積極財政」を力強く後押しする意向を示している「責任ある積極財政を推進する議員連盟」(高市氏Xより)

減税には5兆円近い財源が必要とされ、財政状況の悪化懸念

減税には5兆円近い財源が必要とされ、財政状況の悪化が懸念されていることを踏まえた発言だろう。特例公債の発行に依存しない姿勢も繰り返している。

だが、足元では財政悪化懸念やインフレをにらみ、5月18日の東京債券市場では長期金利の指標となる新発10年物国債の流通利回りが一時2.800%に上昇。1997年5月以来29年ぶりの高水準となった。円や国債が売られるリスクを抱え、ドル円相場も1ドル=160円前後と下落傾向にある。

加えて、日本銀行は6月16日の金融政策決定会合で政策金利を0.75%程度から1.0%程度に引き上げることを決めた。1995年9月以来31年ぶりの高水準となる見込みだ。

6月16日、ようやく重い腰を上げ利上げを決定した日銀
6月16日、ようやく重い腰を上げ利上げを決定した日銀

利上げは長期金利上昇を招き、住宅ローンの返済額のみならず国民生活に打撃を与える可能性もある。来年春からの消費税減税が現実味を帯びれば、さらなる金利上昇や円安進行につながるリスクがあり、それに連動する形で物価高に拍車をかけないとも言い切れない。