グルメレポートから内面の描写へ
本書はグルメガイドとしての側面も持ち、料理ひとつひとつに上白石の生き生きとした感想が綴られている。一方で、食体験にひもづくエッセイも大きな魅力のひとつだ。各回400字という制限の中で書き続けたことについては、苦労もあったという。
「毎回、書きたいことがあふれてしまって、それを削っていく作業がとても難しかった」と振り返る。いっぽうで、「新しい体験を言葉にすることで、考える筋肉が鍛えられた感じがしています」とも話す。
悩みすぎて締め切り当日に滑り込むことも多かったというが、「こうして無事に一冊にまとまって、達成感に包まれています」と顔をほころばせた。
そうして書き上げた本書の見どころについて聞かれると、「連載当初はグルメレポートのような感じで書いていたのですが、回を重ねるごとに少しずつ内面的な内容に変化していきました。この一冊を通して読むことで、“このあたりから筆が乗っているな”といった変化も感じてもらえるのではないかと思います」とコメント。
さらに、筆が進む瞬間については「食体験と記憶が結びついて、意外な出来事を思い出したときや、お店で知らなかった文化に触れて、世界が広がったと感じたときは、書きたいことが一気にあふれてきました」と説明した。













