高市首相にも本を送っている

西村 そういったいろんなことが『選挙漫遊記』には詰まっていますよね。そういう活動は、自分が当事者として投票する選挙でもしているんですか?

「ご議論いただきました」と答弁するだけ…高額療養費制度と高市首相の当事者性とは? 患者団体が専門委員会で訴えたこと_2

畠山 しました。僕は東京8区ですが、先日の衆議院選挙では立候補全員に会って話を聞いています。3年前の杉並区議会議員選挙では、定数48に69人が立候補したんですが、そのときも全員会いました。

西村 69人に。

畠山  会いました。地方議会選挙だと政党って本当に関係ないな、ということがわかってすごく面白かったですね。自民党から候補者がたくさん立候補していたんですが、本当に幅広くて、中には社民党の政策と言ってもわからないんじゃないか、という人もいる。じつに幅広い人たちが立候補していて、声をかけてみるとすごく熱心に話を聞こうとしてくれる人もいれば、「いや、取材は受けないから」と言って逃げる人もいる。

西村 有権者に対して? 選挙期間中に?

畠山 だから「この候補者には絶対に入れないぞ」と思う人にも出会えるんですよ。

西村 それはつまり、自分は絶対に当選する自信があるからこんな有権者は相手にしない、ということ?

畠山 そうです。応援してくれる人数があらかじめわかっていて当選する絶対的な自信があるから、知らない有権者は相手にしない。公職に就こうとしている者としてその姿勢はどうなのか、とものすごく感じるんですが、そういう人は実際にいます。でも、それを許しているのは有権者なので、応援している人に対しても厳しく、「お前は公の立場に立つんだから、いろんな人の話を聞かなきゃダメだよ」と支援者が候補者を叱咤激励して、どこに出しても恥ずかしくない候補者に育てなきゃダメですよ、ということをもっと伝えていかなければいけないなと思っています。

西村 畠山さんがいつも言っている「がんばろう有権者」というフレーズには、そういう意味もあるんですよね。

畠山 そうです。有権者が怠けているから、定数削減されてもしようがないと思われてしまう。日本は有権者に対する議員の数はむしろかなり少ないし、どこに出しても恥ずかしくない人を有権者が政治家にしていたら、定数削減に賛成する有権者はそんなにいないと思うんですよ。でも、現状でそうなっていないのは、やはり有権者がもうちょっと頑張らないといけない、ということですね。

西村 立候補者と選挙事務所の話で思い出したんですが、2月の衆議院選挙の時に、うちの選挙区は自民党の候補が当選しました。今回で2期目の若手議員で、その人は高額療養費の超党派議連にも参加しているんですね。なぜそれを知っているのかというと、たまたま議連の取材で参議院議員会館の会議室にいて後ろの記者席から見ていたときに、その人が手を挙げて「地元の有権者の方々から、保険者が変わると多数回該当がリセットされる問題に早く対応してほしいという声をいただいていますので、議連としても対応をお願いします」と発言していたからなんですよ。

うちの地元選出の自民党議員が野党議員の多い超党派議連に参加して有権者の声を届けている、ということが印象に残っていました。その人が当選したので、この人は今国会で自民党の予算案に賛成する1票になるのだろうと思ったけれども、しようがないと諦めるのも癪だから、その議員のメールアドレス宛に、高額療養費制度〈見直し〉案に対する自分の意見を何度か書いて送ったんですよ。

書きながら「どうせ読まれねえだろうな」と思っていたんだけど。すると、衆議院で高額療養費の議論が始まったときに、その議員から電話がかかってきました。「党の立場はこうで自分はこう考えていて、A議員やB議員とこんなふうに話をしている」等々、こちらから送ったメールに対する意見に対して一所懸命説明してくれるので、こちらも電話をくださったことにお礼を言ったうえで「でもやはり、自分は政府案に承服できないし、引き上げ幅も充分な検討が行われたと思いません」ということを15~20分くらい電話で話しました。地元の有権者の声にちゃんと反応して連絡をくれる国会議員もいるんだな、というのは新鮮な驚きでした。

畠山 そうですよ。打てば響くんですよ、わりと。そういうところが、当選する人の強さでもあるんでしょうね。

西村 支持者からの応援ではないのに、考えが違う有権者からの「自分は賛成できない」という意見に対してもちゃんと向き合おうとする姿勢は誠実だなと思いました。

畠山 しかもその議員は西村さんの前にも地元有権者の意見をちゃんと吸いあげて、議連で要望を伝えているわけだから、やはり声を届ける意味はあるんですよ。

西村 その議員には、この本を編集部から議員会館の事務所宛に送ってもらいました。自民党では他に、高市首相と上野厚労相、石破前首相と福岡前厚労相宛にも編集部から送ってもらっています。はたして本人たちが読んでいるかどうかわからないけれども、事務所には届いていると思います。

畠山 持っていったらどうですか、自分で。あるいは、「お読みいただけましたか」と手紙を書くとか(笑)。