金魚すくいで残った金魚はどこへ行くのか
金魚すくいを取り巻く変化は、動物福祉をめぐる議論だけではないようだ。
筆者が世田谷区、渋谷区、港区、千代田区で開かれた夏祭りを訪ねたところ、いずれの祭りでも金魚すくい屋台の出店は確認できなかった。都内で夏祭りの運営に携わる50代の女性は、縁日の変化についてこう振り返る。
「コロナ禍前までは見かけましたが、ここ5年くらいは金魚すくいの出店を見ていません。猛暑ですぐに金魚が弱ってしまうでしょうし、持ち帰っても飼育できる環境がない人がほとんどなのではないかと思います。代わりに、管理のしやすいスーパーボールすくいやヨーヨー釣りの店が増えている印象です」
実際、祭り用の金魚を扱う業者に話を聞くと、こうした変化はコロナ禍以前から始まっていたという。関東圏で20年以上にわたり、金魚すくい用の金魚や関連商品を扱う卸売業者で働くAさん(30代)は、その要因の一つとして、家庭で金魚を飼う人の減少を挙げる。
「金魚すくい自体は、コロナ禍前から少なくなっていたと思います。お祭りで子どもが『金魚すくいやりたい』と言っても、保護者が『持って帰ったって、どうせ飼えないんだから』と止める場面も多いそうで、実際に持ち帰る人が減ったという話もよく聞きます。
積極的に金魚すくいをする親子は、もともと魚が好きで、持ち帰った後も家で飼うつもりがある方が多いですね。ただ、最近は物価高もあり、趣味にお金をかけることを家計上よしとしない家庭もあるでしょうし、家で観賞魚を飼うこと自体のハードルが、ここ何年かでグッと上がっている印象です」
金魚すくいを楽しむ人や持ち帰る人が減る中、祭りですくわれずに残った金魚は、どこへ行くのだろうか。Aさんは、祭りの後の扱いについては「金魚を仕入れた業者に委ねられる」と前置きしながらも、こう話す。
「お祭りでよく使われるのは、『小赤』と呼ばれる金魚です。ペットショップでは、アロワナなど大型の熱帯魚の生き餌としても販売されています。お祭りで役目を果たした金魚の扱いについて相談を受けた際には、そうした活用法を紹介することもあります」(Aさん)













