認知症リスクが40%も上がる「睡眠時間」
睡眠の質を向上させることはアルツハイマー病など認知症予防に極めて有効であることが理解できたと思います。では、睡眠の「量」はどうなのでしょうか?
睡眠時間が短すぎるのが良くないのは直感的に理解できると思います。実際、睡眠時間が6時間未満の人は認知症発症リスクが高まると、多くの研究で知られています。
では、可能な限り長く寝るのが良いのでしょうか。「寝る子は育つ」という言葉があるように、たくさん寝た方が脳には良いように思えるかもしれません。
しかし意外なことに、疫学的な研究の結果、1日8時間以上寝る人は、逆に認知症を発症するリスクが上昇することが明らかになりました。
日本における大規模な追跡調査である国立がん研究センターの「多目的コホート研究(JPHC研究)」では、1日7時間睡眠の人に比べて、9時間睡眠の人では13%、10~12時間睡眠の人では40%も認知症リスクが高いことが示されています。
また、米国で行われた「フラミンガム研究」の解析でも、高齢者の1日9時間以上の睡眠が、脳変性の初期兆候や認知症リスクの上昇と関連している可能性が指摘されています。
つまり「6時間以上8時間未満」が、認知症を発症しにくい理想的な睡眠時間となります。
その上で「深い眠り」をきちんと得て、脳の「自動洗浄機」がきちんと働く環境を整えることが、何よりも重要な鍵を握っているのです。
文/下村健寿













