睡眠薬には耐性と依存のリスクがある
慢性でなく一過性でも、なかなか寝付けない、寝付きが悪い、寝ても途中で目が覚めてしまう、寝た気がしないなど眠りについて悩んでいる人が案外多く、睡眠薬を使う場合がある。
「『医師から何年もの間同じ睡眠薬が処方され続けている。時には量や種類が増えることもある』『やめるとなかなか眠れなくなってしまうので、結局ずっと飲み続けている』
こういった内容について心配をされる人がいらっしゃいます。回答としては、一部の睡眠薬では、あまりよくない結果になってしまうこともあります。
睡眠薬にはさまざまな種類がありますが、気をつけたい2つの特徴があります。それが耐性と依存です」(森勇磨先生、以下同)
『耐性』は睡眠薬を飲み続けていると、脳がだんだんその薬の刺激に慣れていってしまい、今までは効いていた薬がだんだん効かなくなってしまう状態のこと。
例えば、最初は1錠でぐっすり眠れていたのに、だんだん1錠では効かなくなり、2錠、3錠と量を増やさないと同じ効果が得られなくなるということだ。
もう1つの「依存」は薬にすがりついてしまうような状態のこと。薬がないと不安になったり、薬がないことでより眠れなくなったりしてしまう。
睡眠薬に限らず、コーヒーやお酒など飲んでいないと不安や落ち着きがなくなる状態になるのと同じと言える。
「眠れない症状でクリニックを受診し、とある睡眠薬が出されたとします。睡眠薬を飲みだして、最初はスッキリと眠れていたけれど、だんだんと『耐性』がついてくることで2錠、3錠と量が増えてしまったり、他の種類が処方されたりする。
こんなに飲んでいて大丈夫かと心配になり、いざやめようと思っても、長い間飲んでしまっているので、『依存』によってなかなかやめることができない。耐性や依存性のある睡眠薬が長期で出されている患者さんではこういうことが起きることがあります。
これはもちろんその人の病気や症状による部分はありますし、長期で薬を処方しなければならない場合もあるので、長期がダメということではありません。
薬には『耐性』と『依存』という特徴があることを理解し、できるだけ短期間で使用し、『耐性』と『依存』がつく前にやめられるといいでしょう。
こういった睡眠薬の副作用も踏まえて、具体的にどういった薬がおすすめなのか、副作用はどんな種類と特徴があるのかを把握することが大切です」