政府はデュアルユースなどの科学技術開発に60兆円を投資

武器の輸出は防衛関連の新たな産業を興す可能性もある。

日本では科学技術の軍事利用が戦争を引き起こす一因になったとの考えから、軍事研究に対しては後ろ向きだった。長らく反対の立場をとってきたのが日本学術会議である。日本学術会議は2025年6月に国の特別機関から独立して特殊法人へ移行する法案が成立。2026年10月の法人化に向けて歩き出した。

2026年2月8日投開票の衆院選で自民党が大勝した後の3月27日、政府は2026年から5年間の科学技術政策の方針を決める「科学技術・イノベーション基本計画」を策定。具体的な施策の中に「産学官が連携して、デュアルユース技術の研究開発及び社会実装」を盛り込んだ。

デュアルユースとは軍事と民間の両分野で利用可能な技術や製品を指す。サイバーセキュリティ、全地球測位システム、AI、ドローン、繊維など広範な領域が含まれる。電子レンジや食品用ラップ、缶詰、ボールペンはもともと軍事用品から生み出されたものだ。

03式中距離地対空誘導弾(画像/陸上自衛隊公式ホームページより)
03式中距離地対空誘導弾(画像/陸上自衛隊公式ホームページより)

2025年11月12日の参議院予算委員会で、国民民主党の榛葉賀津也幹事長は質疑の際、「もう民間と軍事の境がなくなって、デュアルユースになっている。防衛予算だからと、おどろおどろしい戦争のための予算ではなく、実はいろんな開発をしていく」と、デュアルユースに対して理解を示す発言をしていた。

防衛産業の活性化は中小企業やスタートアップの活躍を後押しする可能性が高い。政府は研究開発投資を5年間で60兆円、官民合わせて180兆円とする目標を掲げた。防衛省と経済産業省は自衛隊のニーズとスタートアップのマッチングも推進している。

武器の輸出解禁は、デュアルユースの研究開発を進めるスタートアップや中小企業のエコシステム構築に一役買う可能性が高いのだ。